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卒後臨床研修プログラム

消化器・肝胆膵内科

一般目標

  • 消化器疾患は一般臨床の中でも頻度の高い疾患であるため、基本的な消化器診療に必要な知識や技能を修得することを目標とする。
  • 消化器疾患では各種臨床検査が診断や治療の要となることが多いため、各検査の特性を理解し、最も効率良く負担の少ない診断治療計画を立案する。
  • 診療方針に迷った場合には『患者が自分の肉親であればどうするか』と自問しながら診療を行うように心がける。
  • 消化器領域では急性腹症などの緊急性の高い急性疾患があるため、初期救急診療に必要な臨床能力を早期に修得することが必要である。
  • また、癌や炎症性腸疾患などの慢性疾患も多く、病気と共存しながらの療養生活や社会復帰が必要となる例もよくあるため、疾病管理の要点を把握し長期療養計画の立案を行う。
  • 消化器領域に多い悪性腫瘍では、患者の家族構成や信条などの社会的背景も念頭に置いた全人的ケアが特に重要となるため、良好な信頼関係が構築できるように努力する。
  • 消化器内科は消化器外科や放射線科などの関連診療科との密な連携が必須であり、他の医療スタッフとも協調し協力することが必要となるため、コミュニケーション・スキルを向上させるよう努める。
  • 臨床能力の向上のためには、誰が読んでも理解できる診療録の作成を心がけ、客観的な自己評価を行うと共に、結果を常にフィードバックして研鑽する。
  • 今後は認定医や専門医などの臨床資格が益々重んじられるようになるため、資格の取得に必要な条件を整える。

具体的目標

  1. 基本的診察法
    • まず病歴の聴取が第一歩となるが、患者および家族とのコミュニケーションを円滑にし、信頼関係の早期樹立を心がける。
    • 次いで身体所見の把握が必要であり、バイタルサインなどの全身所見と腹部身体所見などの局所所見を系統立てて漏れなく簡潔に記載するよう訓練する。
  2. 利用可能となるべき基本的検査法
    • 必要に応じて指導医に相談しながら以下の諸検査を選択・指示し、結果を解釈して診療に役立てる。
    • 検査医や検査技師に対して、簡潔明瞭に患者の病歴および身体所見、問題点を提示できるよう整理する。
    • 検査の特性や問題点、限界を十分に理解し、効率よく患者負担の少ない検査計画を立案する。
      1. 血液生化学的検査
      2. 血液免疫学的検査
      3. ウィルス学的検査
      4. 腫瘍マーカー検査
      5. 内分泌学的検査
      6. 負荷機能検査
      7. 細菌学的検査
      8. 超音波検査
      9. 単純・造影X線検査
      10. 内視鏡検査
      11. CT・MR検査
      12. 核医学検査
      13. 病理学的検査
  3. 自ら修得すべき基本的検査法
    • 以下の検査は指導医の監督下に自ら施行できるように努力する。
      1. 腹部超音波検査
      2. 超音波ガイド下穿刺(腔水穿刺など)
      3. 上部消化管内視鏡検査
      4. 上部消化管造影X線検査
  4. 専門的検査法
    • 検査の現場に立ち会い、検査法の理解と読影力の向上に努める。
      1. 下部消化管内視鏡検査:一定の条件を満たす希望者は指導の下に施行可
      2. 下部消化管造影X線検査:希望により放射線科に依頼して研修可
      3. 超音波内視鏡検査(EUS)
      4. 逆行性膵胆管造影検査(ERCP)
      5. エコー下肝生検
      6. 経皮経肝胆管造影検査(PTC)
      7. 腹部血管造影検査
  5. 自ら試行すべき基本的治療法
    • EBMに基づく治療計画を立案し、以下の治療を自ら実施する。
      1. 末梢・中心静脈路確保
      2. 心肺蘇生術
      3. 一般療養指導(食事、安静、睡眠、排泄、入浴、体位、就労など)
      4. 一般内服・輸液処方
      5. 高カロリー輸液管理
      6. 血液製剤の使用
      7. 抗腫瘍剤の使用
      8. 抗ウィルス療法(インターフェロン療法など)
      9. 胃管、S-B tube、イレウス管の挿入
      10. 経腸栄養管理
      11. 緩和医療
  6. 適応を把握すべき基本的治療法
    • 治療の必要性を吟味し、適応を考えて専門各科にコンサルトする。
      1. 外科的治療法
      2. 放射線療法
      3. 精神・心身医学的治療
      4. リハビリテーション
      5. 白血球除去療法
  7. 専門的治療法
    • 治療の現場に立ち会い、治療法を理解して、術前・術後管理を行う。
      1. 消化管出血の治療(内視鏡的治療、経血管カテーテル治療など)
      2. ポリープや早期癌に対する内視鏡的治療
      3. 膵胆道系に対する非観血的治療(内視鏡的治療、PTCDなど)
      4. 肝腫瘍に対する局所療法(焼灼術、局注療法、TAE、抗癌剤動注など)
      5. 内視鏡的内痔核結紮術
      6. 内視鏡的胃瘻造設術
      7. 狭窄拡張術・ステント留置術(食道癌、胆管癌など)
  8. 救急処置法
    • 心肺蘇生術と気管内挿管や人工呼吸器管理などの救急処置に習熟する。
    • 急性腹症や消化管出血などの消化器救急疾患に対して、適宜専門医に助言と指導を求めながら初期診療にあたる。
  9. 患者や家族との人間関係
    • 問題点を分析し、良好な人間関係を築きながら、患者中心の医療を行う。
      1. コミュニケーションを密にし、問題点の早期把握に努める
      2. 患者の社会的背景にも考慮しながら、分かりやすい説明を心がける
      3. 患者の理解度を把握しながら、医学的な助言を行う
      4. 患者の意志が十分に反映されたインフォームド・コンセントを頂く
      5. 患者の精神面での治療だけでなく、家族ケアにも配慮する
      6. 自らの死生観を確立し、スピリチュアル・ケアを行う
      7. 死亡された場合でも剖検を許可頂けるような信頼関係を構築する
  10. 診療計画・記録・評価
    • POS方式に基づいてProblem listを作成し、アセスメントを行い、診療計画を立案・実行する。
    • 自己評価および他者からの評価を常にフィードバックし、改善を心がける。
      1. 診療計画の作成と変更
      2. 入退院の判定
      3. 検査の記録
      4. 退院時要約の作成
      5. 紹介医への返書の作成

専門領域疾患

  1. 消化器悪性腫瘍(食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵癌など)
  2. 消化管出血(食道静脈瘤破裂、消化性潰瘍など)
  3. 大腸ポリープ
  4. 炎症性腸疾患
  5. 虚血性腸疾患
  6. 腸閉塞
  7. 急性肝障害(急性肝炎、激症肝炎など)
  8. 慢性肝障害(慢性肝炎、肝硬変など)
  9. 胆石症(急性化膿性胆管炎、急性胆嚢炎など)
  10. 急性膵炎(慢性膵炎急性増悪)
  11. その他の消化器疾患

指導体制

  • 研修医は入院患者の受持医となるが、患者毎に指導医が配置され個別指導にあたる。
  • 入院診療録は、各曜日担当の消化器内科当番医がカルテ回診でチェックする。
  • 自ら修得すべき基本的臨床検査の際には,各曜日担当の責任医の指導の下に検査を行う。
  • 週1回開催される内科合同カンファレンスのほか、同じく週1回の消化器カンファレンス(外科、放射線科と合同)、内視鏡検討会、消化器内科抄読会、研修医勉強会に参加する。