臨床検査部とは
医療は常に進歩を遂げており、その中で臨床検査技術の進歩も著しく、医学・医療の発展に貢献しています。患者さまの治療に貢献出来るよう検査技術を提供している部門が臨床検査部です。
臨床検査部の業務は大きく2つに分ける事が出来ます。
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検体検査
患者さんから採取された検体(血液・尿・便・喀痰など)には今現在の状態が分かる情報が多く詰まっています。これらの情報を調べ出すのが、検体検査です。
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生体検査
身体に流れる電流を調べたり(心電図・脳波など)超音波を当てて(腹部エコー・心エコー)身体内の臓器の状態を調べたりして、今現在の身体の情報を調べ出すのが生体検査です。
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H20年度年間件数(全項目合計)
検体検査 | 件数 |
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生化学・血清・血液検査 | 1,348,304件 |
一般検査 | 165,223件 |
細菌検査 | 20,697件 |
病理検査 | 26,381件 |
H20年度年間件数(全項目合計)
検体検査 | 件数 |
---|---|
心電図検査 | 11,394件 |
心臓超音波検査 | 2,404件 |
体腔超音波検査 | 6,494件 |
脳波検査 | 4,004件 |
筋電図検査 | 1,695件 |
生化学、血液、血清(免疫、輸血)部門

『生化学・血清検査』
血液の中に含まれている血清中の酵素(GOTやALPなど)・蛋白質などの検査や糖尿病・脂質代謝異常などの生活習慣病に関する検査を行い、体の各種臓器(肝臓、心臓、腎臓など)の機能や障害の程度、治療の効果判定を調べています。また、肝炎ウイルス、腫瘍マーカー、ホルモンなどの検査や血液型などの輸血検査も行っています。
『血液検査』
血液の中の赤血球、白血球、血小板の数を測定し、血液像を観察し、貧血や白血病などの血液疾患の診断に欠かせない重要な検査です。また、凝固検査では止血機構の異常を調べ、血栓の予防や治療で、経口抗凝固薬を服用されている方には、薬の効果を調べるのに役立っています。
一般検査部門
一般検査室では、尿と便の検査を行っています。
尿は自動尿定性装置により迅速かつ精度の高い検査結果を報告しています。また、顕微鏡で、尿中の細胞を検査し、腎臓や膀胱の病態を調べています。便は、主に潜血検査と寄生虫検査を行っています。便潜血検査は、消化管からの出血を調べています。大腸ガンや胃ガンの早期発見に役立つ検査です。
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病理検査部門
検査技師は、病変の組織や細胞から顕微鏡標本を作成し、病理医が診断します。細胞診は細胞検査士が事前に良性か悪性の判断をしています。また、病理解剖の介助も行っています。
詳細は病理部の紹介をご覧下さい。
細菌検査部門
最近、ニュース、インターネット上に感染症の話題が多く、患者さんの関心も高まっていると思います。細菌検査は、感染症を起こしている患者さまの検体から、細菌、真菌、ウイルスなどの原因微生物を見つけ出すのが業務です。微生物を分離、同定(細菌名を決める)をし、原因菌を見つけ適切な抗生剤を選択する為に細菌感受性検査を行います。感受性検査は薬剤耐性菌検出にもつながります。耐性菌検出、細菌が産生する毒素検出、血流感染などを医師(ICD)、看護師(ICN)に報告し問題点を抽出するなど、院内感染防止活動の一環として、チーム医療にも取り組んでいます。
また入院患者さまが安心して食事ができる様、厨房のまな板や包丁などのふき取り検査実施後の細菌検査も定期的にお手伝いしています。
当検査室で実施している迅速検査項目
検査項目 | |
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インフルエンザウイルス検査 | A群溶レン菌検査 |
咽頭アデノウイルス検査 | 便中ロタウイルス検査 |
RSウイルス検査 | 便中アデノウイルス検査 |
尿中肺炎球菌検査 | クロストリジウムディフィシル トキシンA・B検査 |
尿中レジオネラ検査 | クラミジア検査 |
抗酸菌PCR検査 | ベロ毒素VT1/VT2検査 |
*インフルエンザの迅速検査は24時間対応しています。
当細菌検査室で一般細菌検査結果報告までに要する日数一覧
検体の種類 | 検査項目 | 結果報告日数 |
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塗抹鏡検 | グラム染色 | 即日報告 |
喀痰、咽頭粘液、尿、糞便、等 | 好気培養のみ | 3~7日 |
髄液、膿、分泌物、穿刺液、胆汁、等 | 好気培養及び嫌気培養 | 3~7日 |
血液培養 | 好気培養及び嫌気培養 | 7日(最終判定まで) |
当細菌検査室で結核菌検査結果報告までに要する日数一覧
検体の種類 | 検査項目 | 結果報告日数 |
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結核菌塗抹鏡検 | チール・ネルゼン染色 | 即日報告 |
結核菌培養 | 液体培地法 | 最終報告 6週間 |
結核菌迅速検査 | PCR検査 | 最終報告 1週間 |
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心電図検査部門
心電図検査、負荷検査、糖尿病関連の検査を行っています。
心電図検査は不整脈や狭心症などの発見につながります。
負荷検査は安静時には見られない異常(狭心症など)を見つける為に行います。
糖尿病関連の多種多様な検査(動脈硬化、体脂肪率、自律神経の検査など)も行っております。女性スタッフが真心こめて担当させて頂きます。
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体腔エコー検査部門
超音波診断装置で、心臓以外の臓器(肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、甲状腺など)の形、大きさ、腫瘍、結石の有無、また、頚動脈などの動脈硬化の判定、血流の具合を検査します。体表にゼリーを塗り機械を当てて検査を実施しますが痛みは無いので手軽な検査です。
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筋電図検査部門
『筋電図検査とは??』
- 筋電図検査とは、筋肉が収縮する時に発生する電気を記録する検査です。
- 検査の種類によっては筋肉に針を刺しますので、痛みを伴います。
- 針を使用する検査の時は専門の先生が行います。
『筋電図検査をお受けになる際の注意点』

- 検査はすべて予約制になっております。
- 心ペースメーカーなどを使用している場合は、検査前に申し出てください。
- 検査に使用される針は完全滅菌されており1回限りの使い捨てで実施するので安心して下さい。
- 検査の所要時間は30分~1時間です。ただし病状の種類、性質、検査事項により異なります。
- 検査中は、手技上不快感を伴う事もありますが安全です。
- 検査後も特に問題はありませんので、入浴して結構です。
『設備』
- 筋電計 VIKING SELECT (Nicolet)
- VIKING Ⅱ (Nicolet)
- 磁気刺激装置 Magnetic Stimulator SMN-1200 (日本電子)
心エコー検査部門
胸にゼリーを塗り、超音波で体の外から心臓の形や動きを観察する事で簡便に心臓の機能を知る事が出来ます。
痛みを伴わない検査で心疾患の早期発見と治療、慢性期の経過観察、治療効果の評価に役立っています。
また、運動負荷や薬剤負荷と組み合わせる事で、精度の高い心虚血検査を行っています。
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脳波・肺機能検査室
脳波・肺機能検査室では、脳波検査、肺機能検査の他に、PSG検査(終夜睡眠ポリグラフ)を中心とした、睡眠関連疾患検査や、サーモグラフィー検査などを行っています。
脳波検査
『脳波検査とは?』
- 人が生きている限り、脳に限らず心臓、筋肉などには小さな電気活動が認められます。
- 脳が働いているときの電気活動をとらえて波形にしたものが脳波です。
- その脳波がリズム良く出ているか、異常な電気活動を示す波形はないか等を見ることにより、脳の働きをみる検査です。
- 電気を流すのではなく、脳から出ている電気活動を測定するだけですので、ピリピリするようなことも無く、赤ちゃんから大人まで安全に実施できる検査です。
『検査方法』

- 頭にたくさんの(21個)電極(小さなセンサー)を装着します。
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電極装着後は目を閉じて静かにベットで横になって頂くだけです。
途中、目のところで光がチカチカします。また目の開け閉めや、大きな呼吸を行います。
『所用時間』
- 1時間程度かかります(検査30分、電極の装着など20分)
『注意事項』

- 検査前日はできるだけ洗髪をお願いいたします。(ポマードや油、リキッド類はつけないでください)
- 検査時に身体用のペースト(のり)を使用し、検査終了後ペーストをふきとります。べたべたした感覚は残る場合がありますが、家で洗髪していただくときれいに落せます。
- お食事は通常通りとっていただいて結構です。
- 救急の検査が発生した場合、時間が前後する場合があります。
- 検査前にお手洗いをお済ませ下さい。
肺機能検査
『肺機能検査とは?』
肺は、血液のガス交換を行い、二酸化炭素を排出し、体内に酸素を取り込む重要な器官ですが、気道が狭くなったり、肺などの弾力性が低下したりすると、十分な呼吸ができなくなります。この検査で、息を吸いこむ量や、息の吐き出し方などを調べることによって、肺の働きの異常の有無を調べます。
『検査方法』
口にマウスピースという筒をくわえて、検査技師の「吸ってー」、「はいてー」の合図に合わせて呼吸をしていただきます。
痛みを伴うような検査ではありませんが、大きな呼吸をして頂きますので、すこし疲れる検査かも知れません。
『所用時間』

15分~30分程度かかります(検査の内容、患者さまの状態により異なります。)
『注意事項』
- この検査は正確な検査結果を出すためには、患者様のご協力が重要です。技師の指示に合わせてご協力お願いいたします。
- 患者様の体調により検査ができない場合もあります。
- 食事など、通常の生活をしていただいて全く問題ありません。
サーモグラフィー検査
『サーモグラフィー検査とは??』
体の皮膚の温度を特殊なカメラ(赤外線カメラ)で撮影し、診断に役立てる検査です。
『検査方法』
写真撮影するような検査ですので、痛みなどはなく安心して検査を受けていただくことができます。室温に慣れて頂く為、リラックスした状態でしばらく(15分ほど)してから検査を開始します。氷水を使用して、温度の変化を確認する場合もあります。
『所用時間』

20分~1時間程度かかります
(検査の内容により異なります)
『注意事項』
- 検査当日は禁煙して頂きます。
- お食事は通常どおりとって頂いて結構です。
- 検査前にお手洗いをお済ませ下さい。
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睡眠関連疾患検査
『終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)』
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)とは、夜間睡眠中の身体の状態を装着した電極を通して測定する検査です。一泊入院して検査を致します。
脳波、眼球の動きなどを測定することで、睡眠の深さ(睡眠段階)や内容、睡眠中の呼吸やいびき、動きの様子、中途覚醒の有無などを検査し診断いたします。
『PSG検査が診断や重症度の判定に役立つ疾患として』
- 睡眠時無呼吸症候群
- ナルコレプシー
- 特発性過眠症
- REM睡眠行動異常症
- レストレス・レッグス症候群 等があります。
『検査の実際』
- PSG検査では、数多くのセンサー類(電極)を装着させて頂きます(合計23個)
- センサーの数に驚かれると思いますが、就寝中の身体の状態を知るための重要なセンサーです。
- 装着や検査に刺激や痛みを伴うものはありません。センサー類を装着したままで、寝返りや起き上がることもできますので、いつも通り就寝して頂だけます。

睡眠の質(状態)を調べます
深い睡眠がとれているか、睡眠が妨げられていないか等
- 脳波電極
- 眼球運動電極
- オトガイ筋表面筋電図
呼吸の状態を調べます
無呼吸の有無、種類、数、持続時間(一回の無呼吸が何秒ぐらい続くか)等
- 鼻口呼吸センサー
- 胸部呼吸運動センサー
- 腹部呼吸運動センサー

夜間のいびきの大きさや頻度を調べます
- 鼻口呼吸センサー
心臓の動きを調べます
脈拍の変化、不整脈など
- 心電図
就寝中の脚の動きを調べます
脚が周期的に動くことによって眠りが妨げられていないか等
- 前脛骨筋表面筋電図
就寝中の身体の向きを調べます
眠っている時の姿勢により、無呼吸やいびきの出現が変化する場合があります。
- 体位センサー
就寝中の血液中の酸素濃度を調べます
無呼吸状態が続くと血液中の酸素の濃度が低下します。
- 経皮的動脈血酸素飽和度モニター(パルスオキシメータ)
検査結果の解析
一晩測定したPSG検査のデータは正確な検査結果を得るために、自動解析ではなく、担当技師が目視にて解析判定を行います。同時に記録するビデオ内容も参考にします。
当院では、RPSGT(米国睡眠協会認定検査技師)、日本睡眠学会認定睡眠検査技師の資格を持った技師が担当に当たり、米国睡眠医学会国際睡眠認定医および日本睡眠学会認定医の資格を持った医師が解析結果をチエックし治療方針を立てます。
【PSG検査の波形】画像をクリックすると拡大します。![]() |
酸素飽和度モニター(パルスオキシメーター)

夜間睡眠中の血中酸素飽和度の変化を測定データは機器に蓄積されます。
睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査、経過観察で使用します。(MSLT)・覚醒維持検査(MWT)
自宅での検査が可能です。
簡易型睡眠呼吸モニター

鼻・口の気流、呼吸運動、心拍数、血中酸素飽和度、いびきを測定します。
無呼吸の有無の検査が中心で、脳波・眼球運動などは省略されているため、眠りの深さや、睡眠の質、睡眠中の運動などは評価できません。
そのため、確定診断にはPSG検査が必要になる場合もあります。
当院では一泊入院での検査となります。
携帯活動量記録計(アクチグラフ)

腕時計型の機器を自宅で長期間(2週間~1カ月程度)、昼夜に渡り装着していただき、睡眠、活動といった生体リズム(概日リズム)を計測する検査です。
機器には、加速度センサー (動きを測定)と照度センサー (周囲の明るさを測定)が組み込まれています。
睡眠潜時反復測定検査(MSLT)・覚醒維持検査(MWT)
『睡眠潜時反復測定検査(MSLT)とは』
昼間の眠気の程度を客観的に調べる検査です。
日中、2時間おきに5回、暗く静かな部屋で横になっていただき、脳波・眼球運動・筋電図などのセンサーをつけた後、眠るまでの時間を測定します。
『覚醒維持検査(MWT)とは』
MSLT同様、昼間の眠気の程度を客観的に調べる検査です。日中、2時間おきに4回、暗く静かなお部屋で椅子に座っていただき、脳波・眼球運動・筋電図などのセンサーをつけた後、どれだけ起きていられるか、その時間を測定します。
MSLT及びMWTはPSG検査の翌日に実施するのが正しい方法ですので、当院では、1泊2日にて検査を実施いたします。