当科の診療について
緩和ケアとは、がんなどの生命をおびやかす病気のために、色々な問題に直面している患者さまや家族の方々を対象とし、痛みなどの身体的問題や心理社会的問題、さらにはスピリチュアルな問題に関して、対処したり予防したりすることで、療養生活の質を高めようとする治療です。(WHO、2002年)
専従のがん性疼痛看護認定看護師が中心となって医師、看護師、薬剤師、リハビリ療養士、栄養士、ソーシャル・ワーカー、臨床心理士といった多職種のがんサポートチームで活動しています。
基本的には入院でのチーム活動をしていますが、外来患者さんも対象に支援体制は整っています。新規に受診希望される患者さまは、まず主治医に受診の相談をしてください。他院からの患者さまも、紹介状を持参していただくようお願い致します。
●身体症状緩和:痛み、倦怠感、吐き気、便通異常、呼吸困難、浮腫、など。
●精神症状緩和:抑うつ、適応障害、不安、不眠、せん妄、など。
●社会的問題緩和:療養場所の紹介、在宅ケアの支援、介護保険の認定、など。
●スピリチュアルケア:カウンセリング、ナラティヴ・アプローチ、など。
ご説明
日本は世界一の長寿国ですが、同時にがん大国でもあり、日本人の2人に1人は一生涯の間に一度は何らかの癌に罹患し、3人に1人が癌で亡くなると言われています。
以前の日本の緩和ケアは、「抗癌治療の継続が不可能になってから、緩和ケアに移行する」という考え方が主流であったため、緩和ケア導入の時期が遅れがちでした。しかし日本でも2007年4月に『がん対策基本法』が発効し、緩和医療を早期から適切に導入することが国の方針として明文化されました。当院でも2008年7月に緩和医療科が発足し、緩和ケア認定看護師や薬剤師と共に院内緩和ケアチームとしても活動しています。

主な診療実績
〔原疾患〕
- 胃癌10例,膵癌5例,肺癌4例,大腸癌4例,乳癌2例,食道癌1例,胆管癌1例,前立腺癌1例,その他2例
〔おもな診療内容〕
- 症状コントロール入院:21名(疼痛8名,呼吸困難3例,嘔吐1例,食欲不振2例,意識障害3例,全身倦怠感1例,体動困難1例,乏尿1例,)
- ターミナルケア入院:10名
〔転帰〕
- 死亡退院10例,退院後緩和ケア外来継続3例,在宅移行6例,ホスピス転院10例,療養型病院転院1例