- 「肉眼的血尿、前立腺生検後の皮下出血を契機に診断された後天性血友病の一例」を泌尿器科紀要に投稿しました。
- 第101回日本泌尿器科学会総会で「MRI評価とテンプレートを用いた経会陰多部位生検結果との相関の検討」を発表しました
- 第101回日本泌尿器科学会総会で「CT値による尿路結石成分推定の解析」を発表しました
- 第26回日本泌尿器内視鏡学会総会で「後腹膜鏡下摘除に術中超音波検査が有用であった髄外性形質細胞腫の1例」を発表しました
- 第61回日本泌尿器科中部総会で「悪性精巣上体腫瘍(腺癌)の1例」を発表しました
- 第100回日本泌尿器科学会総会で「テンプレートを用いた前立腺多部位再生検の検討」を発表しました
- 第100回日本泌尿器科学会総会で「前立腺癌密封小線源治療後のPSA bounce症例の臨床的予測因子の検討」を発表しました
- 第99回日本泌尿器科学会総会で「テンプレートを用いた前立腺多部位再生検の検討」を発表しました
- 第98回日本泌尿器科学会総会で「当院における前立腺癌小線源治療初期31例の検討」を発表しました
- 第98回日本泌尿器科学会総会で「当院での進行尿路上皮癌に対するGemcitabin/Cisplatin併用療法の経験」を発表しました
当科の診療について
前立腺癌小線源治療(ブラキセラピー)について
2007年4月に当院で前立腺癌に対する小線源治療を開始しました。途中、放射線科医の交代に伴い、中断の時期がありましたが、関係各部署のみなさま、関係先生方の多大なご尽力とご厚意により、再開することができ、現在、安定した成績をおさめています。
医療パスにしたがってほとんどの方が、5日間の入院で(土曜日入院 月曜日にシード挿入 水曜日退院)治療を終えられています。前立腺癌 中リスク群の症例に対して外照射併用療法も開始しています。ただ週1回月曜日のみの実施のため、治療までの待機期間をいただくことがあり、その間、ホルモン療法をおこなうことがあります。
前立腺癌の内視鏡を用いた低侵襲手術(腹腔鏡下前立腺全摘除術)について
2009年11月に前立腺癌腹腔鏡手術の施設認定を取得し、低侵襲手術として取り組んでいます。腹腔鏡手術の利点は、従来見えなかった詳しい解剖が把握されるようになったという点と、助手を含めた医療スタッフ全員が同一の視野で手術が進行するため、各手技に対する問題意識の共通化がはかられ、再現性が高く、治療の標準化、アウトカムの普遍化が期待できるという点などが挙げられます。ただし、これまでの内視鏡手術に精通していても、手技的に難しいところもあます。
保険診療としておこなうためには、厚生労働省のさだめる施設認定基準を満たす必要があるなど一定のハードルが設けられています。
なお海外では前立腺癌に対するロボット手術が広く行われており、わが国でも導入する施設が徐々に増えてきています。 施設・患者様双方のコストの面から一般に普及するにはいま少し時間がかかると考えられます。
進行前立腺癌のドセタキセル療法
前立腺癌はホルモン治療が有効ですが、時間とともにだんだんと効果がなくなってくることが多いとされています。その状態を去勢抵抗性(Castration Resistant)前立腺癌といいます。当院では去勢抵抗性前立腺癌に対してドセタキセルを用いた化学療法をおこなっています。去勢抵抗性前立腺癌には今後あらたな治療薬の導入がひかえてはいますが、現在のところドセタキセルが事実上最も有効な手段となっています。前立腺癌を罹患されている患者様はもともと高齢で合併症の高度な症例が多く、規定どおりの最大量の投与は難しいことがおおいですが、当院では、most-tolerant dose の考え方に基づき、安全で副作用の発現が少ないと考えられる低用量から開始して、副作用をみながら徐々に投与量を増やしていき、患者様それぞれの至適投与量を見極めることで、無理なく持続が可能な化学療法をおこなっています。長い方で2年以上癌が進行せず安定した状態(SD)を維持しています。
高リスク筋層非浸潤膀胱癌の化学療法
高リスク筋層非浸潤膀胱癌に対して「膀胱癌診療ガイドライン(2009)」ではBCGの膀胱注入療法が推奨(gradeB)されています。当院では症例によっては、ゲムシタビン・シスプラチンを用いた全身化学療法を施行後、second-TURをおこなうことで良好な成績をおさめています。
膀胱脱に対するメッシュ手術
経膣膀胱脱に対する根治手術としまして、2008年より当院でもメッシュ手術を始めました。膀胱脱は多くの場合QOL疾患なので、膀胱脱の症例すべてがメッシュ手術の適応となるわけではなく、軽症の場合、骨盤底筋体操のみで改善することもあります。重症でも婦人科でリングを入れてもらって解決することもあります。
メッシュ手術の適応は一般に次のようにいわれています。
- 排尿困難を伴い残尿がおおく認められる
- 尿管の走行に影響し閉塞を起こしている
- 脱出した粘膜が炎症 感染源となっている
- 下垂感や不快感がQOLを著しく低下させている
などです。術後合併症としては、メッシュ露出・膣びらんなどから、直腸損傷による人工肛門のケースも考えられ、手術するかどうかの判断は患者様の症状と自覚症状の程度とかね合わせ、merit demeritを十分に評価するようにしています。
主な診療実績(2019年)
内視鏡手術
名称 | 件数 |
---|---|
経尿道的膀胱悪性腫瘍切除術 | 84 |
経尿道的前立腺手術 | 11 |
経尿道的尿管・膀胱結石破砕術 | 57 |
尿管ステント留置術 | 74 |
水圧拡張術 | 1 |
開腹手術
名称 | 件数 |
---|---|
膀胱全摘尿路変向術 | 3 |
回腸導管 | 5 |
体腔鏡手術
名称 | 件数 |
---|---|
腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術 | 7 |
腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 | 10 |
腹腔鏡下腎部分切除術 | 12 |
その他
名称 | 件数 |
---|---|
前立腺小線源治療 | 25 |
膀胱脱メッシュ手術 | 8 |
尿失禁スリング手術 | 3 |
包茎手術 | 6 |
陰嚢水腫手術 | 5 |
精巣摘出術 | 11 |
精巣外傷手術 | 3 |
精巣捻転手術 | 5 |
体外衝撃波結石破砕術 | 75 |