令和3年度 関西電力病院 病院指標

年齢階級別退院患者数

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 15 63 240 321 666 1296 1695 2476 1353 189

当院では、糖尿病を中心とする生活習慣病と脳・心血管障害治療、がん、機能再生医療、救急医療を重点項目に掲げ、「地域の皆様に開放された病院」として、質の高い医療を幅の広い年齢層の患者様に提供を行っております。
全体的に見ると、特に当院は小児科・産科を標榜していない影響もあるかと考えますが、全体の約70%を60才以上の患者様で占めております。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 188 3.3 4.4 0% 69.3
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心臓カテーテル検査 174 2.9 3.1 0% 68.7
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 99 4.7 4.8 0% 68.1
050050xx9920xx 狭心症,慢性虚血性心疾患 手術なし 処置等1_2あり 処置2なし 85 2.9 3.3 0% 71.4
050170xx03000xx 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 処置等1_なし,1あり 処置2なし 定義副傷病なし 61 4.0 5.3 0% 74.0

冠動脈疾患患者および下肢閉塞性動脈硬化症患者に対する検査・治療目的で入院される症例が大半をしめます。
冠動脈疾患患者はコロナ禍の影響で昨年より減少しましたが、下肢閉塞性動脈硬化症に対する検査・治療目的の入院症例は増加しました。
また心房細動を中心とする頻脈性心房細動に対してアブレーションを受けた症例も昨年より増加しています。
掲載した全ての分類で、平均在院日数は全国平均よりも少なく、効率的な診療を行っていることが示されています。

消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 399 2.2 2.7 0% 66.7
060100xx99xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 手術なし 119 1.7 3.0 0% 69.1
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃,十二指腸ポリープ・粘膜切除術 52 8.1 8.0 0% 72.8
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 43 9.6 7.7 0% 54.0
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石,胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 処置2なし 定義副傷病なし 41 11.7 9.2 0% 72.7

当診療科では消化管・肝胆膵疾患に対し幅広く対応を行っています。
特に消化管の悪性腫瘍に対する内視鏡治療、肝悪性疾患に対するラジオ波焼灼術、胆道疾患に対する内視鏡治療、進行癌に対する化学療法に力を入れております。
小腸大腸の良性腫瘍の大部分が大腸腺腫であり、10mm未満のポリープは外来切除、それ以上の大きなポリープは入院切除(多くは1泊2日)しています。
結腸の悪性腫瘍(手術なし)は早期の大腸・直腸癌であり、内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)にて治療を行い、切除病変の大きさにより1週間以内の入院となります。
肝・肝内胆管の悪性腫瘍のほとんどが肝細胞癌と一部転移性肝癌です。EOB-MRIで早期に発見し、virtual sonographyを用いた経皮的なラジオ波焼灼療法にて局所根治に努め、できるだけ短期入院になるよう努めております。
胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術は早期胃癌に対するESDまたは十二指腸腫瘍に対するハイブリッドESDであり、食道の悪性腫瘍(頸部を含む) 内視鏡的食道粘膜切除もほとんどが早期食道癌に対するESDです。当科のESD症例は食道癌の割合が多いことが特徴です。

糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン注射あり 139 13.5 14.4 0% 65.1
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン注射なし 123 10.7 11.2 0% 63.4
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス,非ケトン昏睡 処置2なし 定義副傷病なし 24 14.5 13.3 0% 59.4
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症,非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 処置1なし 定義副傷病なし 15 4.3 6.7 0% 52.3
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン注射あり 11 14.0 13.4 0% 60.5

当診療科は特に糖尿病の個別化治療・チーム医療に注力しており、糖尿病の検査・治療入院が多いですが、内分泌疾患の検査・治療入院も近年増加しています。
充実させている糖尿病の教育・治療入院については、糖尿病治療の基盤である食事・運動療法をメインにしながら、いずれの患者さんにも管理栄養士や理学療法士などが加わったチーム医療で個別化した治療を行っているほか、より高度で専門的な知識・技術が求められるインスリン治療やインクレチン治療など、最新の医学的知見に基づいた治療理論も導入しています。一方で急性疾患にも積極的に対応しており、糖尿病性ケトアシドーシスや感染症、低血糖昏睡などのほか、内分泌疾患のクリーゼなどもしばしば加療しています。
2020年初以来の新型コロナウイルス禍の影響で、従来は比較的早期の糖尿病検査・学習入院からインスリンやインクレチン注射治療入院まで幅広い診療が目立っていましたが、2020年度からは新型コロナ感染症治療のために病床や人員を割いたことや、様々な感染症や心血管イベントなどによる急性疾患が増加したことなどから、入院疾患分類も従来とは全く異なった傾向を示すようになりました。より高度な治療となるインスリン注射ありの2型糖尿病が増加したほか、糖尿病ケトアシドーシス症例や1型糖尿病症例が目立つようになったのがその典型ですが、これは新型コロナウイルス・パンデミックによって、本来であればもっと早期に医療介入されるべきであった例や、ライフスタイル変化や薬物治療の継続に何らかの支障が生じやすくなったりしたことで、その影響を受けやすい1型糖尿病患者やインスリン療法中の患者、必要な治療を開始していなかった患者などの状態が悪化したことが理由と考えられます。
このような状況にあって、より多くの合併症や併存症が存在する症例の増加、急性疾患の治療増加など、病態が複雑化して入院期間を延長する要素は多い中で、多職種のチーム医療によって、最適な治療法を探索し決定することで、ほぼいずれの疾患群においても全国平均と同等か、短い入院期間を達成しています。また糖尿病以外においても、下垂体、副腎、甲状腺などの内分泌疾患の特に急性の変化に対応したり、迅速に診断をつける必要のある症例については検査を積極的に実施して診断・治療を行いました。

血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 化学療法(リツキシマブ+フィルグラスチム)あり 50 20.3 19.9 0% 69.3
130060xx99x40x 骨髄異形成症候群 手術なし 処置2_4あり 48 9.1 10.1 0% 75.6
130040xx99x6xx 多発性骨髄腫,免疫系悪性新生物 手術なし 処置2_6あり 39 12.5 17.2 0% 69.7
130030xx97x50x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 処置2_5あり 定義副傷病なし 35 23.4 31.2 0% 68.9
130030xx99x9xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 化学療法(オビヌツズマブ)あり 35 8.7 13.0 0% 69.5

血液内科では、血液悪性疾患が占める割合が多く、化学療法(抗がん剤治療)を多く行っています。非ホジキンリンパ腫が全体のおよそ7~8割を占めており、濾胞性リンパ腫やびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が多い傾向にあります。濾胞性リンパ腫に対して、従来の抗CD20抗体薬リツキシマブに加え、新規の抗CD20抗体薬であるオビヌツズマブで治療を行う症例が増加傾向です。また多発性骨髄腫では、新規薬剤が近年多く登場し、疾患の病勢コントロールが得られやすくなりました。当科では、自家移植を含めた治療を行った後、抗体薬であるエロツズマブを使い維持療法を行い、良好な成績を得ています。骨髄系腫瘍では、骨髄異形成症候群に対してアザシチジン療法を行う症例が増加しています。化学療法に伴う貧血や血小板減少症に対して輸血を行う頻度も高く、このため手術ありとなる症例が多くあります。

腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術・処置等なし 80 8.1 10.4 1.25% 63.7
110280xx9902xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2_2あり 24 6.1 8.7 0% 65.0
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術・処置等なし 16 13.9 14.8 0% 68.0
070560xx99x01x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 処置2なし 定義副傷病あり 16 17.7 24.1 0% 72.9
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 処置2なし 15 20.9 20.4 0% 73.8

当診療科では、慢性腎不全の教育入院や、腎炎・ネフローゼ症候群の腎生検・治療目的入院が主体となっております。
また、血液透析のみならず腹膜透析も積極的に行っております。
さらに、バスキュラーアクセストラブルにも迅速に対応しており、内シャントの手術やVAIVTも盛んに行っています。
当院腎臓内科はリウマチ膠原病内科としても診療しており、関節リウマチや全身性エリテマトーデス患者様の治療も行っております。

脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 処置1あり 94 2.0 2.0 0% 59.0
010300xxxxxxxx 睡眠障害 37 2.1 4.4 0% 39.1
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 29 18.0 17.9 6.90% 77.9
010160xx99x10x パーキンソン病 手術なし 処置2あり 定義副傷病なし 16 12.0 19.2 0% 72.1
010155xxxxx0xx 運動ニューロン疾患等 処置2なし 13 15.5 13.8 7.69% 66.2

睡眠時無呼吸、睡眠障害は回復傾向にある。脳梗塞はさらに減少した。

呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 肺生検実施 48 2.8 3.3 0% 70.6
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等なし 46 22.4 18.4 6.52% 73.8
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 29 19.7 20.6 37.93% 68.2
0400801499x001 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし A-DROP スコア1 15 17.2 14.4 0% 74.6
040170xxxxxx0x 抗酸菌関連疾患(肺結核以外) 定義副傷病なし 12 4.1 9.3 0% 73.6

当診療科では多彩な呼吸器感染症を多く取り扱っています。

  • 肺癌は、クリニカルパスを用いた入院での気管支鏡検査などで診断し、進行肺癌に対する化学療法導入時は腫瘍内科が主科になり入院対応を行っています。
  • 間質性肺炎は、気管支鏡検査(気管支肺胞洗浄・経気管支肺生検)や外科的肺生検で診断し、抗線維化薬導入時や急性増悪時に入院を行っています。
  • 非結核性抗酸菌症を疑う症例には気管支鏡検査を適宜施行、診断後治療導入や強化治療を必要時入院で行っています。
腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040010xx99x30x 縦隔悪性腫瘍,縦隔・胸膜の悪性腫瘍 手術なし 処置2_3あり 定義副傷病なし 23 9.0 8.7 0% 69.6
060030xx99x30x 小腸の悪性腫瘍,腹膜の悪性腫瘍 手術なし 処置2_3あり 定義副傷病なし 19 7.7 6.4 0% 60.6
120010xx99x70x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 処置2_7あり 定義副傷病なし 11 4.3 4.1 0% 58.9
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 処置2なし - - 18.4 - -
040040xx99080x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2_8あり 定義副傷病なし - - 9.0 - -

進行がんの場合、縦隔リンパ節転移や腹膜播種や腹部リンパ節転移をしている患者さまが多数いらっしゃるため、原発巣が判りづらい表記になっています。
婦人科がんの患者さんが増加傾向にあるのと抗がん薬治療や胸部への放射線治療での副作用・合併症である薬剤性間質性肺炎や放射線肺臓炎で入院される方も多くいらっしゃいます。

外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 72 5.6 4.7 0% 67.9
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 43 8.8 7.1 0% 63.0
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 29 7.1 6.2 0% 62.2
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 25 6.2 5.4 0% 44.0
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む))等 処置1なし 24 11.5 10.1 0% 60.0

外科は消化器外科と乳腺外科で構成しています。消化器外科は消化器内科・腫瘍内科・放射線科などとともに消化器センターとして診療・治療にあたっており、休日・夜間を通じて専門的治療の提供に努めています。扱っている疾患は、食道がん、胃がん、大腸がん、乳癌、膵臓がん、肝臓がん、神経内分泌腫瘍など悪性腫瘍や胆嚢結石症、急性虫垂炎、鼠径ヘルニア(脱腸)、痔核・痔瘻などです。特に当科では希少疾患である神経内分泌腫瘍の専門外来を開設して診療にあったており、全国でも有数の患者数の診療を行っています。
消化器悪性腫瘍の治療に関しては、消化器内科・腫瘍内科・放射線科・緩和診療科や看護部・栄養科・薬剤部とともに定期的なカンファレンスを行い一貫した治療を提供しています。キャンサーボードも積極的に活用して治療方針の決定に役立てています。
疾患別では鼠径ヘルニアの症例はここ数年最も多い疾患となっています。救急疾患については治積極的に緊急・救急患者の受け入れを行っており、緊急処置を必要とすることの多い胆嚢炎と急性虫垂炎が前年同様多くなっていますが、胆嚢炎を伴わない胆嚢結石症の手術については、昨年は減少していましたが本年は増加に転じています。
乳腺疾患については乳癌検診を始めており、注力しています。乳癌に関しても腫瘍内科と定期的なカンファレンスを行い集学的な治療の提供に努めております。

呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 手術あり 処置2なし 定義副傷病なし 38 14.6 10.5 0% 70.4
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1あり 処置2なし - - 3.3 - -
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 処置2なし 定義副傷病なし - - 9.9 - -
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2_4あり 定義副傷病なし - - 9.1 - -
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 その他の手術あり 処置2なし 定義副傷病なし - - 10.5 - -

当診療科において、一番多く治療にあたっている疾病は肺癌です。
それ以外に転移性肺腫瘍、縦隔疾患、自然気胸、膿胸など幅広く胸部疾患全般の治療を行っています。

整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む) 人工関節再置換術等 29 31.6 23.0 0% 74.0
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩,股等 28 25.1 25.3 53.57% 79.3
160700xx97xx0x 鎖骨・肩甲骨の骨折 手術あり 定義副傷病なし 27 7.8 6.0 3.70% 59.7
160720xx01xxxx 肩関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨,上腕,大腿等 23 23.5 14.6 13.04% 66.3
160610xx97xxxx 四肢筋腱損傷 その他の手術あり 18 11.2 9.5 5.56% 55.8

整形外科では、脊椎外科、手外科、関節外科を中心に入院、外来手術を行っています。2021年度は、鎖骨、肩周辺骨折の手術が増加しました。大腿骨頸部骨折の在院日数は昨年度より減少し、全国平均並みの在院日数となっています。これは後方支援病院への転院率が増加したためと達成できたものと思われます。

形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 処置2なし 23 5.1 2.9 0% 66.5
100100xx97x1xx 糖尿病足病変 手術あり 処置2あり 11 62.3 48.2 0% 70.2
160640xx01xxxx 外傷性切断 切断四肢再接合術等 11 20.1 17.1 0% 53.1
090010xx011xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む))等 処置1あり - - 15.3 - -
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚,皮下腫瘍摘出術(露出部)等 処置1なし - - 4.0 - -

当診療科は主として、体表面とそれに近い組織、器官の先天異常、外傷、腫瘍などによる障害に対し、これを形態的のみならず、機能的にも可及的正常に再建することを目的としています。特に近年は、マイクロサージャリーの技術が発達し、従来の外科の概念を変えるような手術が可能となってきています。
当診療科の治療の特色としては、 顕微鏡下に血管や神経をつなぐマイクロサージャリーを用いた切断指肢の再接着や、欠損指の再建手術、またマイクロサージャリーの繊細さを生かした、整容的、機能的に満足できる眼瞼下垂の手術などを多く手がけています。

脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 12 11.8 8.3 0% 58.8
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 処置2なし 定義副傷病なし 11 20.4 9.8 9.09% 78.2
010070xx01x2xx 脳血管障害 脳血管内手術等 処置2_2あり - - 19.2 - -
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 処置1あり 処置2なし - - 3.0 - -
010200xx99x00x 水頭症 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし - - 6.7 - -

当診療科では主に脳血管の障害、脳の外傷、脳腫瘍、水頭症の患者様を対象に診療しています。
一般的に脳梗塞(血行障害による脳損傷)や脳の外傷(怪我による脳損傷)の罹患率が高く、当院においてもこれらの患者様が多くなっています。
緊急入院を必要とする患者様が多く 、いつでも速やかに対応できる体制を整えています。
脳保護や血行改善のための薬剤治療を行うほか、必要に応じて手術による治療を行っています。脳損傷に伴う機能障害を有する患者様が多く、早期からリハビリテーションを併用しています。長期間のリハビリテーションが必要な場合は、回復期施設へ転院した上でリハビリテーションを継続していただきます。

心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 処置1なし 処置2_1あり 26 19.0 21.9 7.69% 71.0
050050xx0101xx 狭心症,慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む) 単独のもの等 処置1なし 処置2_1あり - - 21.7 - -
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤,腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 処置2_1あり - - 28.1 - -
050080xx0111xx 弁膜症(連合弁膜症を含む) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 処置等1_1あり 処置2_1あり - - 34.2 - -
050050xx0111xx 狭心症,慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む) 単独のもの等 処置等1_1,2あり 処置2_1あり - - 26.8 - -

狭心症,心筋梗塞にに対して冠動脈バイパス術を施行しています。特に糖尿病患者にはCABGの有用性は報告されており、両側内胸動脈を使用した多枝バイパスを積極的に行っております。心臓弁膜症に関しては高齢者の大動脈弁狭窄症に対する弁置換術をはじめ、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症には積極的に自己弁を温存した弁形成術を施行しています。不整脈治療に関しても積極的にMaze手術を行っています。また内視鏡を用いた小切開による低侵襲手術(MICS手術)も患者のニーズに合わせ大動脈弁、僧帽弁で施行しています。腹部大動脈瘤に加え胸部大動脈瘤治療も外科手術だけてなく症例に応じてステントグラフトによる治療も行っています。

泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 処置1あり 88 2.4 2.5 0% 67.9
110080xx03xxxx 前立腺の悪性腫瘍 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 53 2.2 2.8 0% 70.6
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 処置1なし 定義副傷病なし 44 5.4 5.6 0% 57.7
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 処置2なし 34 5.2 7.0 0% 71.1
110080xx9900xx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 27 6.3 9.2 3.70% 72.3

前立腺生検は経会陰テンプレート生検を行っています。治療するべき前立腺癌と経過を診ていい前立腺癌を正確に分類できます。膀胱悪性腫瘍の経尿道的手術の再発例には原則術後抗がん剤膀胱注入療法を行っています。上部尿路結石に対して、軟性尿管鏡を用いた内視鏡手術に積極的に取り組んでいます。経皮的砕石術と組み合わせた術式も徐々に増えてきています。院外の放射線・粒子線施設とと連携し前立腺癌放射線治療前に直腸前立腺間にスペーサーを留置する処置行っています。

婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 処置2なし 35 1.9 3.1 0% 41.9
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 32 7.0 6.0 0% 44.8
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む) 腹腔鏡によるもの等 23 6.7 6.1 0% 44.0
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 処置2なし 21 15.5 11.5 0% 53.4
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 処置2_4あり 定義副傷病なし 18 6.8 4.3 0% 58.4

子宮頸部切除は手術当日入院、そして退院とするケースもあり、さらに在院日数は短くなっている。悪性腫瘍患者の在院日数の短縮化傾向もみられるが、さらに様々な努力をおこなっていくことが必要である。

眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障,水晶体の疾患 手術あり 片眼 269 0.2 1.1 0% 72.0
020110xx97xxx1 白内障,水晶体の疾患 手術あり 両眼 13 0.8 6.5 0% 62.5
020220xx97xxx0 緑内障 その他の手術あり 片眼 13 0.8 6.5 0% 70.2
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 - - 9.0 - -
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 片眼 - - 6.5 - -

当診療科は、眼科領域のあらゆる疾患に対して、最新の検査機器を用いた正確な診断に基づく適切な治療(薬物、レーザー、手術)を行っています。
主な診療内容(外来および入院)は、網膜硝子体疾患(網膜剥離、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、黄斑円孔、黄斑上膜)の診断と治療、緑内障の診断と治療、白内障の手術治療です。

耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 128 8.1 7.1 0% 50.9
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 44 7.1 6.5 0% 52.9
030428xxxxxxxx 突発性難聴 21 8.4 8.8 0% 67.5
030320xxxxxxxx 鼻中隔弯曲症 18 7.3 6.3 0% 44.2
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 18 7.4 7.0 0% 59.6

手術が必要な中耳炎に対して積極的に鼓室形成術を行っていますが、重症度に応じて一期的手術、あるいは段階手術を適宜選択し行っています。一般的な顕微鏡手術に加え、低侵襲な内視鏡手術も行っています。他施設で手術を受けた後の、中耳炎再発例も多く治療しているため、入院期間はやや長めの傾向にあります。
耳硬化症に対するアブミ骨手術は、繊細で高度な技術が必要です。当院は近畿圏でも有数の手術件数を誇ります。また、通常の外科治療では聴力の改善が得られない高度感音性難聴の場合には、人工内耳による治療も実施しています。
内服治療効果が不十分な慢性副鼻腔炎例は、内視鏡およびナビゲーションを併用した副鼻腔手術を行っており、必要に応じて鼻中隔矯正術や翼突管神経切除術なども同時に行っています。
頭頚部の腫瘍に対しては、形成外科と共同で再建を行う大掛かりなものから、抗がん剤と放射線治療だけで治癒を目指す症例など幅広く対応しています。
また、抗がん剤の動脈内注入療法にも、積極的に取り組んでいます。
重症の突発性難聴に対しては入院でステロイド点滴を行っており、また糖尿病などの併存症がある場合に該当科と連携して積極的に治療を行っています

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 71 - 10 29 9 - 1 8
大腸癌 29 27 25 52 - 11 2 8
乳癌 28 10 - 14 - - 1 8
肺癌 31 12 13 86 11 18 1 8
肝癌 13 15 - 9 - 51 2 8

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

胃癌・大腸癌・乳癌・肺癌はいずれも比較的早期の患者様もおられますが、再発・進行癌の患者様も目立ちます。
「不明」とあるのは入院時には病期が不明であった患者様で、その後の検査等で病期が判明致します。
なおDPCのコーディングでは転移性の進行癌患者様が転移部位でコーディングされることが多く、肺癌や肝臓癌には肺転移や肝転移が含まれている可能性があり、一方腹膜播種や腹腔内や縦隔リンパ節への転移の場合、各癌腫の総数に入っていない可能性もあり、Ⅳ期癌の正確な数字を表記するためにデータの見直しを行っております。
抗がん薬治療を外来通院で行うことが多くなっており、そもそも入院人数が以前よりも減少していますが、それだけではなく新型コロナウイルス感染症の影響と思われる新規発症の患者さんが全体的に少なくなっていると考えられます。
当院は400床の病院ですが、胃癌・大腸癌・肺癌はそれぞれ年間100名以上の患者さまが受診されております。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 32 19.5 78.8
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -

患者数が最も多いのは中等症です。重症度が上がるにつれ平均年齢が上がっていおり、中等症が軽症より平均在院日数が長いことがわかります。

脳梗塞の患者数等

発症日から 患者数 平均
在院日数
平均年齢 転院率
3日以内 78 35.3 70.7 11.54%
その他 - - - -

脳梗塞は脳血管が閉塞し脳の一部が損傷する疾患です。当院では脳神経内科と脳神経外科が協力して脳梗塞の治療に当たっています。90%の患者様が発症3日以内の急性期に入院されており、発症早期から治療を受けておられます。治療は主に抗血栓薬や脳保護薬による薬剤治療を行いますが、必要に応じて血栓溶解治療や血栓回収治療、血行再建手術といった高度な専門性を必要とする治療を行います。ほとんどの患者様で運動障害や言語障害といった脳損傷に伴う機能障害が見られます。入院早期からリハビリテーションを行いますが、長期間のリハビリテーションを必要とする場合には、当院回復期リハビリテーション科と連携して継続的にリハビリテーションを受けていただきます。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 175 1.2 1.5 0% 69.3
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 81 1.0 2.7 0% 69.0
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 72 1.4 1.7 0% 73.5
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 23 0.1 17.0 0% 68.9
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術 18 1.0 2.3 0% 63.6

緊急心臓カテーテル検査を24時間対応しており、その場で冠動脈カテーテル治療を行いCCUに収容。狭心症に対しても冠動脈ステントを用いて積極的に治療しています。
また、不整脈診療ではカテーテルアブレーションによる最先端の心房細動治療やMRI対応のペースメーカ、心不全に対する両室ペーシングなどのデバイス治療、そして患者様の負担を軽減する遠隔モニタリングを行っています。

消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 384 0.2 1.0 0% 67.0
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 46 0.4 7.0 0% 74.2
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 41 2.2 10.6 0% 75.5
K526-22 内視鏡的食道粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術) 31 0.1 6.8 0% 70.9
K697-31ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm以内)(その他) 27 0.3 11.7 0% 74.9

内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術は大腸内視鏡施行時に、大腸ポリープや早期の大腸癌の基部に液体を局注し、スネアをかけて切除する方法で、ほとんどの方が日帰りか1泊2日の入院で施行しています。
また胃や十二指腸の早期癌や前癌病変は、フックナイフを用いた内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)やハイブリッドESDで安全・確実に切除しています。入院期間は、1週間程度となります。

血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) 15 13.2 14.2 0% 58.4
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
K6262 リンパ節摘出術(長径3cm以上) - - - - -

当院では、適応となる患者様に自家末梢血幹細胞移植、同種末梢血幹細胞移植、同種骨髄移植を行い、治療成績の向上に努めています。このため、移植に用いる造血幹細胞を、患者さま自身、あるいはドナーさまから採取することがあります。また悪性リンパ腫はリンパ節腫大を伴うことが多く、確定診断のためにリンパ節生検手術をおこないます。

腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 35 0.9 2.9 0% 72.3
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 19 10.5 16.3 0% 72.2
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施) 17 0.1 2.9 0% 78.9
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 10 4.3 7.9 0% 72.9

当診療科では透析患者様の合併症入院に関しても力を入れています。特に、内シャントトラブルには迅速に対応しており、シャント狭窄閉塞に対し、バスキュラーアクセスインターベンション治療を積極的に行っています。
また、透析導入患者の内シャント作成、透析患者のシャントトラブルに対する再建術も行っています。
当診療科ではPDファーストを推奨しており、腹膜透析カテーテル留置術も行っています。
当院腎臓内科では、透析治療のみならず、生体腎移植行っており、血液透析・腹膜透析・腎移植のすべての治療に対応しております。

外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 73 1.2 5.9 0% 63.3
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 56 1.3 2.9 0% 65.5
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 31 0.3 1.3 0% 62.8
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 27 0.6 4.6 0% 46.0
K4741 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm未満) 19 0.7 0.8 0% 45.0

手術別患者数では対象となる疾患は昨年と同様でした。一方、手術件数でみれば鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を第一選択としたため大幅に増加しています。緊急手術に関しては麻酔科・手術室との協力の下に、新型コロナ感染対策を行いつつ、積極的な受け入れを続けています。乳がんに関しては検診を行うなど乳腺疾患の治療に力を入れています。
他科からの化学療法目的の静脈内持続注入用埋込型カテーテルの留置も行っており、件数は引き続き多くなっています。
手術数全体の約79%を全身麻酔で行っており、そのうちの約60%を腹腔鏡下に行っています。良性疾患だけでなく、大腸がん、胃がん、食道がん、肝臓がん、神経内分泌腫瘍などの悪性疾患に対しても適応を十分検討したうえで積極的に腹腔鏡下手術を行っています。 

呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 25 2.3 11.7 0% 70.2
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 10 2.2 9.1 0% 31.8
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) - - - - -
K488-4 胸腔鏡下試験切除術 - - - - -
K513-2 胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術 - - - - -

当診療科では手術症例の多くを胸腔鏡手術で行っています。肺癌手術の標準術式は肺葉切除ですが、高齢者やハイリスク症例の1cm以下の小型肺癌では低侵襲な区域切除術や肺部分切除術を行うこともあり、これらも含めて肺癌手術の80-90%は完全鏡視下で行っています。ただ、胸腔鏡手術に固執はせず、状況に応じて開胸下の気管支形成術や、周囲臓器の合併切除を伴う拡大手術、悪性縦隔腫瘍に対する胸骨正中切開下手術も積極的に行っています。
2021年度は新型コロナウィルス感染症流行が続いたため、2019年度に比べて肺癌手術を中心に2割から3割近く手術症例数が減少した2020年度と同程度でした。

整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(膝) など 45 1.5 29.4 0% 72.9
K0461 骨折観血的手術(大腿) など 36 3.2 17.3 0% 70.2
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(下腿) など 20 1.1 4.1 0% 48.5
K0463 骨折観血的手術(鎖骨) など 20 2.1 7.4 0% 61.5
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) 17 1.3 11.3 0% 68.2

予定手術は、前日入院を基本としていますが、骨折などの外傷は、入院後2日以内の手術をめざしています。大腿骨頸部骨折の患者は、合併症のある高齢者が多く、肺炎、膀胱炎などを合併していると先にその治療を行うため、術前入院期間がどうしても他の骨折より増加します。

形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 21 0.0 4.0 0% 62.4
K0871 断端形成術(骨形成を要する)(指) - - - - -
K0463 骨折観血的手術(指) など - - - - -
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
K617-2 大伏在静脈抜去術 - - - - -

当診療科の手術の特色としては、マイクロサージャリーの繊細さを生かした整容的、機能的に満足できる眼瞼下垂の手術や、実際に顕微鏡下に血管や神経をつなぐマイクロサージャリーを用いた切断指肢の再接着、手指の骨折手術などを多く手がけています。

脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 13 3.5 16.1 0% 80.6
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) - - - - -
K6101 動脈形成術、吻合術(頭蓋内動脈) - - - - -
K1742 水頭症手術(シャント手術) - - - - -
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) - - - - -

当診療科で最も多い手術は慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術です。この手術は頭蓋骨と脳の間の空間に血液が貯まる慢性硬膜下血腫という疾患に対して行います。局所麻酔で頭皮を短く切開し、頭蓋骨に小孔を開けて内部の血液を洗浄除去します。頚動脈狭窄症に対する手術も多く、病変や患者様の病態に合わせて動脈血栓内膜摘出術と経皮的頚動脈ステント留置術を使い分けています。動脈血栓内膜摘出術は、全身麻酔で内腔が狭くなった頚動脈を切開して肥厚した内膜を摘出して内腔を広げます。経皮的頚動脈ステント留置術は、局所麻酔でカテーテルを用いて血管の内側から網目の筒状の金属(ステント)で内腔を広げます。また、脳腫瘍摘出術や脳動脈瘤クリッピング術も積極的に行っており、手術支援機器を使用しながら安全に手術を行うよう努めています。

心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 20 5.6 15.9 0% 72.5
K5551 弁置換術(1弁) 17 4.4 15.5 0% 73.5
K5552 弁置換術(2弁) - - - - -
K5541 弁形成術(1弁) - - - - -
K5601イ 大動脈瘤切除術(上行)(弁置換術又は形成術) - - - - -

狭心症,心筋梗塞にに対して冠動脈バイパス術を施行しています。特に糖尿病患者にはCABGの有用性は報告されており、両側内胸動脈を使用した多枝バイパスを積極的に行っております。心臓弁膜症に関しては高齢者の大動脈弁狭窄症に対する弁置換術をはじめ、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症には積極的に自己弁を温存した弁形成術を施行しています。不整脈治療に関しても積極的にMaze手術を行っています。また内視鏡を用いた小切開による低侵襲手術(MICS手術)も患者のニーズに合わせ大動脈弁、僧帽弁で施行しています。腹部大動脈瘤に加え胸部大動脈瘤治療も外科手術だけてなく症例に応じてステントグラフトによる治療も行っています。

泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 61 0.2 3.2 0% 73.8
K007-2 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 53 0.1 1.1 0% 70.6
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 45 1.0 8.8 0% 69.3
K7812 経尿道的尿路結石除去術(その他) 24 0.3 2.5 0% 55.3
K800-2 経尿道的電気凝固術 24 0.3 6.9 0% 70.1

膀胱腫瘍の経尿道的手術、上部尿路結石に対する内視鏡手術の増加が見込めます。前立腺癌放射線治療前のスペーサー・金マーカー留置は院内外の症例を幅広く行っています。

婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(腹腔鏡) 40 1.3 4.7 0% 42.4
K867 子宮頸部(腟部)切除術 38 0.0 0.8 0% 42.3
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 30 1.1 6.1 0% 48.7
K872-32 子宮内膜ポリープ切除術(その他) 16 0.0 0.6 0% 47.3
879-2 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る) など 13 1.3 10.6 0% 50.5

全体的に合併症が少なく、術後入院日数はさらに短縮化の傾向にあります。
小手術についてはこれ以上の短縮は難しい程度にまで至っていると考えます。

眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他) 269 0.2 1.1 0% 72.0
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 13 0.8 6.5 0% 60.9
K2684 緑内障手術(緑内障治療用インプラント挿入術)(プレートなし) 13 0.8 6.5 0% 70.2
K279 硝子体切除術 - - - - -
K2682 緑内障手術(流出路再建術) - - - - -

白内障手術は、上記の表に掲載された単独での水晶体再建術以外に、硝子体手術や緑内障手術との同時手術も多数行っています。
硝子体手術は、増殖性硝子体網膜症手術や硝子体切除術も行っています。緑内障手術は、流出路再建術や濾過手術(線維柱帯切除術)も行っています。また外来手術として、加齢黄斑変性・近視性脈絡膜新生血管・黄斑浮腫(糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症)に対する、抗血管新生薬硝子体注射を積極的に行っています。

耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) 79 1.0 7.1 0% 54.8
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 59 0.8 5.4 0% 46.6
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 29 1.0 5.4 0% 52.1
K347 鼻中隔矯正術 21 1.5 5.0 0% 44.2
K407-2 軟口蓋形成手術 16 1.0 7.1 0% 30.1

手術が必要な中耳炎に対して積極的に鼓室形成術を行っていますが、重症度に応じて一期的手術、あるいは段階手術を適宜選択し行っています。
一般的な顕微鏡手術に加え、低侵襲な内視鏡手術も行っています。他施設で手術を受けた後の、中耳炎再発例も多く治療しているため、入院期間はやや長めの傾向にあります。
耳硬化症に対するアブミ骨手術は、繊細で高度な技術が必要です。当院は近畿圏でも有数の手術件数を誇ります。また、通常の外科治療では聴力の改善が得られない高度感音性難聴の場合には、人工内耳による治療も実施しています。
内服治療効果が不十分な慢性副鼻腔炎例は、内視鏡およびナビゲーションを併用した副鼻腔手術を行っており、必要に応じて鼻中隔矯正術や翼突管神経切除術なども同時に行っています。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 10 0.12%
異なる 17 0.20%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -

DPC

14桁あるDPCコードのうち、前6桁で示されております。DPCコード6桁とは病名による分類を意味しております。

播種性血管内凝固症候群

感染症などによって起こる全身性の重症な病態です。

敗血症

感染症によって起こる全身性炎症反応の重症な病態です。

真菌感染症

真菌による感染症です。

手術・処置などによる合併症

手術や処置等で一定割合で発生してしまう病態です。術後出血や創部感染などが代表例です。
合併症は術式や患者様に因らず一定の確率で起こりうるもので、医療ミスとは異なります。

入院契機

入院契機(入院のきっかけ)病名が4つ疾患と「同一」か「異なる」かで集計を行っております。
「同一」はある病気の診療目的で入院して、その病気の診療が主であったあったことを意味します。
「異なる」はある病気の診療目的で入院したが、併存病名や入院中に発症した病名の治療が主になってしまったことを意味します。

重篤な外傷や、消化器外科などの大手術後に血液の凝固に異常をきたす播種性血管内凝固症候群がおこることがあります。また、色々な感染症などから血液中に病原菌が入り敗血症になり、これが原因で播種性血管内凝固症候群がおこることもあります。
また、当院は手術や処置などを行う際には合併症を起こさないように細心の注意を払い施行しています。また、起こり得る合併症についても事前に可能な限り患者さまに説明した上で、手術や処置の施行に対して同意を頂くよう努めています。

更新履歴
2022.9.28
令和3年度データを掲載しました。