形成再建外科

関西電力病院形成再建外科の診療について

形成外科は主として、体表面とそれに近い組織、器官の先天異常、外傷、腫瘍などによる障害に対し、これを形態的のみならず、機能的にも可及的正常に再建することを目的としています。現在、形成外科専門医3名を含む5人の常勤医師体制で形成外科・再建外科の幅広い診療を行っています。また、部長の松末は数少ない形成外科を基盤とする手外科専門医*であり、一般的な形成外科診療のほか、手指の痛み・変形や、手の外傷といった手外科診療にも力を入れています。手の診療においても機能回復だけにとどまらず、形成外科ならではの「キズあとのケア」といった、整容面も含めた改善を目指して診療を行っているのが、当科の特色です。

*手外科専門医は整形外科あるいは形成外科の専門医を取得後、日本手外科学会が定める研修を経て試験に合格した手の診断・治療の専門家です。整形外科を基盤とする手外科専門医が多く、形成外科を基盤とする手外科専門医はまだ残念ながら少ないのが現状です。

マイクロサージャリーによる再建外科手術

当院の治療の特色としては、顕微鏡下に血管や神経をつなぐマイクロサージャリーを用いた、自家組織移植による形成術や、再建術を得意としています。具体的に例を挙げますと、切断肢指の再接着、欠損した指の再建、慢性骨髄炎の治療、悪性腫瘍切除後の再建などです。とくに足趾移植による欠損指の再建手術は全国でも随一の症例数であり、過去に他院でやむを得ず切断となった患者さまも多数紹介され、再建手術を行っております。そして、機能はもちろん、外観上もできるだけ元の状態に近い指を再建するように、力を入れています。指基節部より欠損している場合でも、足趾の関節移植を組み合わせることにより、元の指の長さ・太さ・爪の大きさに近く、さらに知覚と関節の動きの一部を併せ持った指を再建することが可能です。また2009年より「マイクロサージャリー外傷センター」を開設し、積極的に四肢外傷救急治療に取り組んでおります。特に手外傷は神経血管、腱の損傷を伴うことが多く、対応できる病院自体が少ないこともあり、大阪市内のみならず広い範囲からの救急患者さまを受け入れております。

関西電力病院形成再建外科の対象疾患

現在、以下の疾患の治療をおこなっています。

手、足

外傷(切断、骨折、腱損傷、神経損傷など)や外傷後の二次障害(関節拘縮、腱癒着など)、指や爪などの変形や欠損、手指の変形性関節症(へバーデン結節、ブシャール関節、母指CM関節症)、先天異常、上肢、下肢のリンパ浮腫など

再建外科

事故などで失った指の移植による再建、乳ガンで失った乳房の再建、その他悪性腫瘍切除後の再建、皮膚難治性潰瘍、褥瘡、糖尿病性壊疽、難治性偽関節、慢性骨髄炎の組織移植による治療再建など

救急医療

切断を始めとする肢指重度損傷、顔面骨折や顔面軟部組織損傷の救急治療

かお、あたま

眼瞼下垂、さかまつげなど眼瞼の異常、鼻、口唇、耳の変形や異常、外傷、毛髪の欠損など

皮膚

あざ、皮膚腫瘍、ガングリオンや、熱傷後、手術後、外傷後などのひきつれ、拘縮、醜形、ケロイドなど

むね、おなか、せなか

乳房の術後変形や異常、腹壁瘢痕ヘルニア、腹直筋離開症など

当科で治療を受けられた患者さま、これから治療を受けられる患者さまへ

当科では、治療方法、治療部の写真や、治療成績といった患者さまの情報を集積しております。治療技術の向上のため、学術的研究として、これらのデータを用いて解析し、学会発表などに使用させていただく場合があります。使用するすべてのデータは匿名化され、個人情報は保護されます。また、患者さまより、研究目的のデータ使用を希望しないと申し出ていただければ、それらのデータを使うことはありません。患者さまにはご理解を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

対象疾患

  • 切断指(肢)
  • 欠損指の再建
  • 顔面骨骨折
  • 合指症
  • 多指症
  • 乳がん術後の乳房再建
  • 下腿慢性骨髄炎
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診療実績

主な診療実績(2023年)

名称 件数
Ⅰ.外傷 441
Ⅱ.先天異常 7
Ⅲ.腫瘍 252
Ⅳ.瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 34
Ⅴ.難治性潰瘍 75
Ⅵ.炎症・変性疾患 74
Ⅶ.美容(手術) 0
Ⅷ.その他 30
合計 913

施設認定・施設基準

  • 日本専門医機構認定 京都大学形成外科研修プログラム 連携施設
  • 日本手外科学会 基幹研修施設

診療科紹介・部門