令和5年度 関西電力病院 病院指標

年齢階級別退院患者数

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年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 16 48 177 281 588 1263 1439 2364 1556 238

当院では、糖尿病を中心とする生活習慣病と脳・心血管障害治療、がん、機能再生医療、救急医療を重点項目に掲げ、「地域の皆様に開放された病院」として、質の高い医療を幅の広い年齢層の患者様に提供を行っております。
全体的に見ると、特に当院は小児科・産科を標榜していない影響もあるかと考えますが、全体の約70%を60才以上の患者様で占めております。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 153 3.5 4.3 0% 71.6
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし他の病院・診療所の病棟からの転院以外 107 2.9 3.0 0% 70.4
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 91 4.5 4.6 0% 66.0
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等12あり 手術・処置等2なし他の病院・診療所の病棟からの転院以外 66 3.6 3.2 0% 69.7
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし他の病院・診療所の病棟からの転院以外 48 13.9 17.4 6.25% 79.6

冠動脈疾患患者および下肢閉塞性動脈硬化症患者に対する検査・治療目的で入院される症例が大半をしめます。
カテーテルアブレーション治療が増加しています。
冠動脈疾患患者は冠動脈CT検査を施行する例が増えたので昨年より減少しましたが,冠動脈CT検査などの非侵襲的検査を増加させることは全国的な流れと考えています。
掲載した全ての分類で、平均在院日数は全国平均よりも少なく、効率的な診療を行っていることが示されています。

消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 376 2.3 2.6 0% 67.4
060100xx99xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 手術なし 83 1.9 3.0 1.20% 70.3
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 51 10.3 8.7 1.96% 72.9
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 50 9.3 7.6 0% 71.8
060130xx9900xx 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 36 6.5 7.6 2.78% 66.5

当診療科では消化管・肝胆膵疾患に対し幅広く対応を行っています。
特に消化管の悪性腫瘍に対する内視鏡治療、肝悪性疾患に対するラジオ波焼灼術、胆道疾患に対する内視鏡治療、進行癌に対する化学療法に力を入れております。
小腸大腸の良性腫瘍の大部分が大腸腺腫であり、10mm未満のポリープは外来切除、それ以上の大きなポリープは入院切除(多くは1泊2日)しています。
結腸の悪性腫瘍(手術なし)は早期の大腸・直腸癌であり、内視鏡的粘膜切除術や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)にて治療を行い、切除病変の大きさにより1週間以内の入院となります。
肝・肝内胆管の悪性腫瘍のほとんどが肝細胞癌と一部転移性肝癌です。EOB-MRIで早期に発見し、virtual sonographyを用いた経皮的なラジオ波焼灼療法にて局所根治に努め、できるだけ短期入院になるよう努めております。
胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術は早期胃癌に対するESDまたは十二指腸腫瘍に対するハイブリッドESDであり、食道の悪性腫瘍(頸部を含む) 内視鏡的食道粘膜切除もほとんどが早期食道癌に対するESDです。当科のESD症例は食道癌の割合が多いことが特徴です。

糖尿病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン注射あり 99 11.2 10.7 0% 64.4
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン注射なし 81 13.3 14.0 0% 65.1
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス,非ケトン昏睡 24 11.3 13.1 4.17 63.5
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等21あり 16 15.8 13.3 0% 64.3
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 12 3.5 6.5 0% 61.6

当診療科は糖尿病の検査・教育・治療入院や肥満症の減量入院、および内分泌疾患の検査・治療入院を主に実施しています。
特に糖尿病の教育・治療入院は充実しており、糖尿病治療の基盤である食事・運動療法に注力し、いずれの患者さんにも管理栄養士や理学療法士などが加わったチーム医療で個別化した治療を行っているほか、より高度で専門的な知識・技術が求められるインスリン治療やインクレチン治療、インスリンポンプなど、最新の医学的知見に基づいた治療も導入しています。一方で急性疾患にも積極的に対応しており、糖尿病性ケトアシドーシスや感染症、低血糖昏睡などのほか、内分泌疾患のクリーゼなども加療しています。
糖尿病診療においては、教育からインスリンやインクレチン注射実施例まで幅広い診療を行っており、インスリン注射なしの2型糖尿病症例が最も多く、インスリン注射を実施している2型糖尿病症例が次いで多くなっています。入院期間などの指標も全国平均よりやや短く、集中して効率よく教育・治療を行っていることが示されてきました。
ここ数年の傾向として、糖尿病ケトアシドーシス症例や1型糖尿病症例が増加しています。これは新型コロナウイルス・パンデミックによって、本来であればもっと早期に医療介入されるべきであった例や、ライフスタイル変化や薬物治療の継続に何らかの支障が生じやすくなったりしたことで、その影響を受けやすい1型糖尿病患者やインスリン療法中の患者、必要な治療を開始していなかった患者などの状態が悪化したことが理由と考えられます。
しかしながら、より多くの合併症や併存症が存在する症例の増加、急性疾患の治療増加など、病態が複雑化して入院期間を延長する要素は多い中で、多職種のチーム医療によって、最適な治療法を探索し決定することで、ほぼいずれの疾患群においても全国平均と同等か、短い入院期間を達成しています。また糖尿病以外においても、下垂体、副腎、甲状腺などの内分泌疾患の特に急性の変化に対応したり、迅速に診断をつける必要のある症例については検査を積極的に実施して診断・治療を行いました。

血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130010xx97x9xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等29あり 90 26.3 34.9 5.56% 72.1
130030xx97x9xx 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等29あり 67 28.9 30.7 16.42% 75.8
130030xx99x9xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等29あり 67 11.2 12.9 5.97% 77.6
130010xx99x9xx 急性白血病 手術なし 手術・処置等29あり 57 16.2 13.1 0% 74.3
130030xx99xaxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2Aあり 40 8.6 11.4 0% 70.8

血液内科では、血液悪性疾患が占める割合が多く、化学療法(抗がん剤治療)を多く行っています。以前は非ホジキンリンパ腫が全体のおよそ7~8割を占めいましたが、現在は急性骨髄性白血病+骨髄異形成症候群と非ホジキンリンパ腫が同じくらいの割合でそれぞれ4割程度となっています。
急性骨髄性白血病+骨髄異形成症候群が増加した背景には高齢者でも行うことのできる白血病の治療(アザシチジン+ベネトクラクス)が保険適応となったことによる治療対象患者の増加があげられます。悪性リンパ腫の中のB細胞性リンパ腫に対して、従来のR-CHOP療法で治療する症例は少なく、新規の抗CD20抗体薬であるオビヌツズマブやCD79b抗体とMMAEの抗体薬物複合体であるポラツズマブベドチンを含む治療を行う症例のほうが多くなっております。またそれら新規薬剤を使用した場合入院期間の短縮が得られ非ホジキンリンパ腫のための治療のための入院の平均在院日数が短期間になっております。
化学療法に伴う貧血や血小板減少症に対して輸血を行う頻度も高く、このため手術ありとなる症例が多くあります。

腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術・処置等なし 85 9.0 11.5 2.35% 67.5
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 内シャント血栓除去術等 33 8.6 6.4 0% 54.6
110280xx9902xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 腹膜灌流 20 7.6 8.1 0% 67.5
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2なし 13 18.5 19.9 7.69% 67.2
070560xx99x01x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 副傷病あり - - 23.1 - -

当診療科では、慢性腎不全の教育入院や、腎炎・ネフローゼ症候群の腎生検・治療目的入院が主体と なっております。
また、血液透析のみならず腹膜透析も積極的に行っております。
さらに、バスキュラーアクセストラブルにも迅速に対応しており、内シャントの手術やVAIVTも盛んに行っています。
当院腎臓内科はリウマチ膠原病内科としても診療しており、関節リウマチや全身性エリテマトーデス患者様の治療も行っております。

脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 終夜睡眠ポリグラフィー 121 2.0 2.0 0% 55.4
010300xxxxxxxx 睡眠障害 38 2.0 4.5 0% 43.2
010160xx99x10x パーキンソン病 SPECT 28 14.2 19.6 0% 73.2
010160xx99x00x パーキンソン病 18 18.4 18.2 0% 75.8
010060x2990401 脳梗塞(発症3日目以内・JCS10未満) 手術なし  16 14.3 15.7 6.25 62.6

昨年に比して睡眠時無呼吸は大幅に増加した。変性疾患や脳梗塞の入院は変化なかった。

呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 47 22.3 18.7 4.26% 72.8
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 38 3.5 3.0 0% 70.6
0400801499x001 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 18 17.6 13.9 5.56% 83.5
0400801499x002 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なしA-DROP スコア2 17 13.6 15.4 0% 81.8
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 17 25.5 20.6 23.53 80.8

当診療科では多彩な呼吸器感染症を多く取り扱っています。

  • 肺癌は、クリニカルパスを用いた入院での気管支鏡検査などで診断し、進行肺癌に対する化学療法導入時などに腫瘍内科と連携しながら入院対応を行っています。
  • 間質性肺炎は、気管支鏡検査(気管支肺胞洗浄・経気管支肺生検)や外科的肺生検などで診断し、抗炎症薬や抗線維化薬の導入時、および急性増悪時に入院を行っています。
  • 高齢化社会を反映して誤嚥性肺炎の入院対応も少なくはありません。リハビリや環境調整などで後方支援が必要な際には慢性期病院/施設へ転院していただいています。
腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040010xx99x30x 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等23あり 定義副傷病なし 13 5.7 8.1 0% 57.2
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし - - 18.7 - -
060030xx99x30x 小腸の悪性腫瘍、腹膜の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等23あり 定義副傷病なし - - 6.2 - -
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし - - 8.3 - -
070040xx99x3xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。) 手術なし 手術・処置等23あり - - 13.7 - -

進行肺がんの場合、縦隔リンパ節転移をしている患者さまが多数いらっしゃるため、原発巣が判りづらい表記になっています。

外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 53 5.3 4.5 0% 68.5
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 33 8.1 6.9 0% 62.2
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 32 6.6 6.0 0% 60.1
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 21 19.7 18.0 0% 70.7
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 21 6.9 5.3 0% 42.2

外科は消化器外科と乳腺外科で構成しています。消化器外科で扱っている疾患は、食道がん、胃がん、大腸がん、乳癌、膵臓がん、肝臓がん、神経内分泌腫瘍など悪性腫瘍や胆嚢結石症、急性虫垂炎、鼠径ヘルニア(脱腸)、痔核・痔瘻などです。 消化器悪性腫瘍の治療に関しては消化器内科・腫瘍内科・放射線科などとともに消化器センターとして診療・治療にあたっており、消化器センターないで看護部・栄養科・薬剤部とともに定期的な多職種カンファレンスを行い集学的な治療を提供しています。また、当科では希少疾患である神経内分泌腫瘍の専門外来を開設して診療にあったており、全国でも有数の患者数の診療を行っています。
 疾患別では胆嚢結石症や急性胆嚢炎、鼠径ヘルニア、急性虫垂炎での入院がここ数年多い傾向が続いていますが、急性胆嚢炎、急性虫垂炎などの救急疾患については積極的に緊急・救急患者の受け入れを行っていることで入院が多くなっています。また、腹腔鏡手術など低侵襲な治療の提供に努めており、結果として鼠径ヘルニアと胆嚢手術において平均在院日数が短くなりました。乳癌の悪性腫瘍症例数が減り2023年の表には出ていませんが、乳腺外科では形成外科と協力して積極的に乳房再建術を行ったり、腫瘍内科や遺伝外来と連携するなど専門的な治療の提供を行っています。

呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 手術あり 45 12.5 9.9 0% 71.5
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし - - 8.3 - -
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等12あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 3.0 - -
040030xx01xxxx 呼吸器系の良性腫瘍 肺切除術 気管支形成を伴う肺切除等 - - 8.5 - -
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等25あり - - 18.8 - -

当診療科において、一番多く治療にあたっている疾病は肺悪性腫瘍で、その大半は原発性肺癌ですが、一部転移性肺腫瘍も含みます。
それ以外に縦隔腫瘍や自然気胸、膿胸など幅広く胸部疾患全般の治療を行っています。

整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 25 31.3 22.0 0% 77.4
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等2なし 23 25.7 15.7 0% 69.0
160700xx97xx0x 鎖骨・肩甲骨の骨折 手術あり 定義副傷病なし 20 6.2 5.2 0% 57.2
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病なし 20 8.3 4.8 0% 52.8
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 20 27.6 25.5 35.0% 82.5

整形外科では、脊椎外科、手外科、関節外科を中心に入院手術や外来手術を行っています。予定手術では、概ね在院日数は1ヶ月以内となっています。上肢の骨折は入院期間が短いのですが、大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭挿入術例では、転院により入院期間を1ヶ月以内に抑えています。

形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等1なし 10 3.8 4.3 0% 57.2
160610xx97xxxx 四肢筋腱損傷 その他の手術あり 10 17.2 8.9 0% 41.6
160640xx01xxxx 外傷性切断 切断四肢再接合術等 10 16.4 16.8 0% 59.3
160200xx02000x 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 4.6 - -
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし - - 12.9 - -

当診療科は主として、体表面とそれに近い組織、器官の先天異常、外傷、腫瘍などによる障害に対し、これを形態的のみならず、機能的にも可及的正常に
再建することを目的としています。特に近年は、 マイクロサージャリーの技術が発達し、従来の外科の概念を変えるような手術が可能となってきています。
皮膚腫瘍切除や眼瞼下垂症手術と言った一般形成外科手術の他に、 顕微鏡下に血管や神経をつなぐマイクロサージャリーを用いた切断指肢の再接着や、欠損指の再建手術、手指の腱縫合などの手外科手術を多く手がけていることが、当診療科の治療の特色です。

脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術・処置等なし 21 13.1 8.4 9.52% 70.7
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術・処置等なし 13 19.7 19.1 23.08% 65.1
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 14.9 9.9 9.09% 69.4
010030xx9900xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 10 8.5 7.4 0% 50.7
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし - - 3.0 - -

当診療科では主に脳血管の障害、脳の外傷、脳腫瘍、水頭症の患者様を対象に診療しています。
一般的に脳梗塞(血行障害による脳損傷)や脳の外傷(怪我による脳損傷)の罹患率が高く、当院においてもこれらの患者様が多くなっています。
緊急入院を必要とする患者様が多く 、いつでも速やかに対応できる体制を整えています。
脳保護や血行改善のための薬剤治療を行うほか、必要に応じて手術による治療を行っています。脳損傷に伴う機能障害を有する患者様が多く、早期から
リハビリテーションを併用しています。長期間のリハビリテーションが必要な場合は、回復期施設へ転院した上でリハビリテーションを継続していただきます。

心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症 ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 人工呼吸あり 15 14.1 21.5 6.67% 68.3
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術単独のもの等 人工呼吸あり 12 15.1 21.4 0% 71.8
050170xx97000x 閉塞性動脈疾患 その他の手術あり 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 10.2 - -
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤,腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 中心静脈注射 - - 27.6 - -
050080xx0111xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等11あり 手術・処置等21あり - - 33.7 - -

狭心症,心筋梗塞にに対して冠動脈バイパス術を施行しています。特に透析患者、糖尿病患者に対するCABGの有用性は報告されており、両側内胸動脈を使用した多枝バイパスを積極的に行っております。また内視鏡を用いた小切開によるMICS-CABGも施行しています。心臓弁膜症に関しては高齢者の大動脈弁狭窄症に対する弁置換術をはじめ、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症には積極的に自己弁を温存した弁形成術を施行しています。単弁手術においては内視鏡を用いた小切開によるMICSをすべての症例で第一選択としています。腹部大動脈瘤に加え胸部大動脈瘤治療も外科手術だけてなく症例に応じてステントグラフトによる治療も行っています。また手術とステントグラフトを組み合わせたハイブリッド手術を行っています。

泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺針生針法 100 2.2 2.4 0% 69.8
110080xx03xxxx 前立腺の悪性腫瘍 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 63 2.3 2.7 0% 70.0
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 54 4.7 5.2 0% 59.4
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 44 6.2 6.9 0% 73.4
110070xx03x20x 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等22あり 定義副傷病なし 22 6.5 6.6 0% 75.8

前立腺生検はMRI所見に基づいた経会陰テンプレート生検を行っています。
正診率の向上と、overtreatmentを避ける効果が期待できます。
上部尿路結石はMOSESモードを用いた高出力レーザーで破砕しています。

婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 31 12.7 10.1 0% 56.9
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 27 6.5 6.0 0% 48.1
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 26 5.4 5.9 0% 46.8
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等2なし 25 1.8 3.0 0% 38.1
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 23 8.0 9.2 0% 44.1

全体的に症例数の減少がみられるが、子宮悪性腫瘍手術の在院日数がさらに短縮傾向で、良性の子宮や卵巣手術においても在院日数の短縮傾向がみられ、概ね良好なコントロールかと思われる。

眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障,水晶体の疾患 手術あり 片眼 177 1.8 2.5 0% 73.9
020110xx97xxx1 白内障,水晶体の疾患 手術あり 両眼 76 4.9 4.5 0% 75.5
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 片眼 - - 4.9 - -
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2なし片眼 - - 6.1 - -
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし - - 5.7 - -

当診療科は、眼科領域のあらゆる疾患に対して、最新の検査機器を用いた正確な診断に基づく適切な治療(薬物、レーザー、手術)を行っています。
主な診療内容(外来および入院)は、網膜硝子体疾患(網膜剥離、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、黄斑円孔、黄斑上膜)の診断と治療、緑内障の診断と治療、白内障の手術治療です。

耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 119 7.1 6.8 0% 56.3
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 43 7.2 6.0 0% 50.8
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 20 8.0 6.7 0% 55.2
030320xxxxxxxx 鼻中隔弯曲症 18 7.4 5.8 0% 47.4
030475xxxxxxxx 耳硬化症 17 6.9 6.6 0% 52.0

手術が必要な中耳炎に対して積極的に鼓室形成術を行っていますが、重症度に応じて一期的手術、あるいは段階手術を適宜選択し行っています。一般的な顕微鏡手術に加え、低侵襲な内視鏡手術も行っています。他施設で手術を受けた後の、中耳炎再発例も多く治療しているため、入院期間はやや長めの傾向にあります。
耳硬化症に対するアブミ骨手術は、繊細で高度な技術が必要です。当院は近畿圏でも有数の手術件数を誇ります。また、通常の外科治療では聴力の改善が得られない高度感音性難聴の場合には、人工内耳による治療も実施しています。
内服治療効果が不十分な慢性副鼻腔炎例は、内視鏡およびナビゲーションを併用した副鼻腔手術を行っており、必要に応じて鼻中隔矯正術や翼突管神経切除術なども同時に行っています。
頭頚部の腫瘍に対しては、形成外科と共同で再建を行う大掛かりなものから、抗がん剤と放射線治療だけで治癒を目指す症例など幅広く対応しています。
また、抗がん剤の動脈内注入療法にも、積極的に取り組んでいます。
重症の突発性難聴に対しては入院でステロイド点滴を行っており、また糖尿病などの併存症がある場合に該当科と連携して積極的に治療を行っています。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

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初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 65 - - 11 - - 1 7,8
大腸癌 16 14 23 16 16 23 1 7,8
乳癌 23 - - - - - 1 8
肺癌 49 - 16 32 - 22 1 7,8
肝癌 11 - - - - 45 1 7,8

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

胃癌・肺癌はいずれも比較的早期の患者様もおられますが、再発・進行癌の患者様も目立ちます。
「不明」とあるのは入院時には病期が不明であった患者様で、その後の検査等で病期が判明致します。
なおDPCのコーディングでは転移性の進行癌患者様が転移部位でコーディングされることが多く、Ⅳ期癌の正確な数字を表記するためにデータの見直しを行っております。
抗がん薬治療を外来通院で行うことが多くなっており、延べ人数が以前よりも減少しています。
当院は400床の病院ですが、大腸癌・肺癌はそれぞれ年間100名以上の患者さまが受診されております。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

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患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 29 11.5 59.7
中等症 61 19.6 79.7
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -

重症度が上がるにつれ平均年齢が上がっています。患者数が最も多いのは中等症です。リハビリや環境調整、後方支援などの対応など複数の因子の影響か、中等症の平均在院日数が多いです。

脳梗塞の患者数等

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発症日から 患者数 平均
在院日数
平均年齢 転院率
3日以内 90 34.0 70.8 15.56%
その他 22 24.1 70.1 13.64%

脳梗塞は脳血管が閉塞し脳の一部が損傷する疾患です。当院では脳神経内科と脳神経外科が協力して脳梗塞の治療に当たっています。90%の患者様が発症3日以内の急性期に入院されており、発症早期から治療を受けておられます。治療は主に抗血栓薬や脳保護薬による薬剤治療を行いますが、必要に応じて血栓溶解治療や血栓回収治療、血行再建手術といった高度な専門性を必要とする治療を行います。ほとんどの患者様で運動障害や言語障害といった脳損傷に伴う機能障害が見られます。入院早期からリハビリテーションを行いますが、長期間のリハビリテーションを必要とする場合には、当院回復期リハビリテーション科と連携して継続的にリハビリテーションを受けていただきます。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 114 1.7 1.7 0.88% 71.8
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 72 1.3 2.6 0% 67.1
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 45 1.1 1.9 0% 75.5
K5463 経皮的冠動脈形成術 その他のもの 22 2.8 1.6 4.45% 74.1
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術 その他のもの 21 1.1 2.2 0% 63.6

経皮的冠動脈ステント留置術や下肢の末梢血管治療は例年どおりの件数で大きな変化ありません。
カテーテルアブレーション治療が大幅に増加しました。術前術後の日数も短いのが特徴です。

消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 347 0.3 1.1 0% 67.8
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 50 0.3 8.0 0% 71.8
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm以上 36 0.1 2.5 0% 65.3
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 34 2.2 13.7 2.9% 75.3
K697-31ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として) 2cm以内のもの その他のもの 33 0.8 11.4 0% 75.0

内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術は大腸内視鏡施行時に、大腸ポリープや早期の大腸癌の基部に液体を局注し、スネアをかけて切除する方法で、ほとんどの方が日帰りか1泊2日の入院で施行しています。
また胃や十二指腸の早期癌や前癌病変は、フックナイフを用いた内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)やハイブリッドESDで安全・確実に切除しています。入院期間は、1週間程度となります。

腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 初回 43 0.8 2.0 0% 77.1
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの 21 8.4 14.1 9.52% 70.2
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 13 6.5 10.2 7.69% 67.2
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 1の実施後3月以内に実施する場合 10 0 1.2 0% 77.8
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 - - - - -

当診療科では透析患者様の合併症入院に関しても力を入れています。特に、内シャントトラブルには迅速に対応しており、シャント狭窄閉塞に対し、バスキュラーアクセスインターベンション治療を積極的に行っています。
また、透析導入患者の内シャント作成、透析患者のシャントトラブルに対する再建術も行っています。
当診療科ではPDファーストを推奨しており、腹膜透析カテーテル留置術も行っています。
当院腎臓内科では、透析治療のみならず、生体腎移植行っており、血液透析・腹膜透析・腎移植のすべての治療に対応しております。

外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 67 1.3 5.3 0% 62.0
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 49 1.4 2.7 0% 68.0
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 27 0.6 2.1 0% 62.9
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 21 1.1 4.1 0% 43.8
K4762 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 18 1.4 4.4 0% 57.7

DPC群別別の手術患者数では上位4番までは前年と同じ術式でしたが、入院期間の短縮に努めており、腹腔鏡下胆嚢摘出術、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術、腹腔鏡下虫垂切除術では昨年より入院期間が短くできました。
手術数全体の約75%を全身麻酔で行っています。他科からの化学療法目的の静脈内持続注入用埋込型カテーテルの留置も行っており、件数は引き続き多くなっています。

呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 22 1.8 9.3 0% 71.5
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 18 2.3 9.5 0% 71.0
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 区域切除 - - - - -
K513-2 胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術 - - - - -
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) - - - - -

当診療科では胸腔鏡下手術を基本術式としており、肺癌手術の80-90%は完全鏡視下に行っています。
切除範囲は肺葉切除が基本ですが、高齢者やハイリスク症例の1cm以下の小型肺癌ならびにスリガラス様陰影を呈する早期肺癌では縮小手術(低侵襲手術)も行っています。胸腺腫などの縦隔腫瘍も胸腔鏡下での切除を積極的に行っています。

整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(肩・股・膝) 44 1.1 26.3 0% 72.7
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 30 2.1 24.3 16.67% 74.5
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 27 1.5 12.1 0% 59.0
K134-22 内視鏡下椎間板摘出(切除)術 後方摘出術 21 2.7 10.3 4.76% 48.9
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕、下腿) 19 0.8 1.7 0% 55.1

昨年度同様、人工関節手術が最も多く、以下外傷に対する手術が続きます。外傷の場合も、ほとんど入院後1~2日で手術を行えています。
しかし、合併症などで術前入院期間が延びてしまう症例があり、特に大腿骨頸部骨折ではしばしば見られます。2023年度は、内視鏡下椎間板摘出術の症例が増加しました。

脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K1781 脳血管内手術 1箇所 12 1.0 17.5 8.33% 55.6
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 10 0.9 10.7 0% 78.0
K178-4 経皮的脳血栓回収術 - - - - -
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 - - - - -
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの - - - - -

脳神経外科領域でも低侵襲治療が増加しつつあり、当診療科でも血管内治療が増加傾向にあります。慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術は頭蓋骨と脳の間の空間に血液が貯まる慢性硬膜下血腫という疾患に対して行い、局所麻酔で頭皮を短く切開して頭蓋骨に小孔を開けて内部の血液を洗浄除去します。頚動脈狭窄症に対する手術も多く、病変や患者様の病態に合わせて動脈血栓内膜摘出術と経皮的頚動脈ステント留置術を使い分けています。動脈血栓内膜摘出術は、全身麻酔で内腔が狭くなった頚動脈を切開して肥厚した内膜を摘出して内腔を広げます。経皮的頚動脈ステント留置術は、局所麻酔でカテーテルを用いて血管の内側から網目の筒状の金属(ステント)で内腔を広げます。また、脳腫瘍摘出術や脳動脈瘤クリッピング術も積極的に行っており、手術支援機器を使用しながら安全に手術を行うよう努めています。

心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術 2吻合以上のもの 18 5.6 11.4 0% 69.0
K5551 弁置換術 1弁のもの - - - - -
K6093 動脈血栓内膜摘出術 その他のもの - - - - -
K554-21 胸腔鏡下弁形成術 1弁のもの - - - - -
K5606 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの) - - - - -

狭心症,心筋梗塞にに対して冠動脈バイパス術を施行しています。特に糖尿病患者にはCABGの有用性は報告されており、両側内胸動脈を使用した多枝バイパスを積極的に行っております。心臓弁膜症に関しては高齢者の大動脈弁狭窄症に対する弁置換術をはじめ、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症には積極的に自己弁を温存した弁形成術を施行しています。不整脈治療に関しても積極的にMaze手術を行っています。また内視鏡を用いた小切開による低侵襲手術(MICS手術)も患者のニーズに合わせ大動脈弁、僧帽弁で施行しています。腹部大動脈瘤に加え胸部大動脈瘤治療も外科手術だけてなく症例に応じてステントグラフトによる治療も行っています。

泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 66 0.5 4.9 0% 74.4
K007-2 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 63 0.2 1.1 0% 70.0
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 52 0.4 9.7 0% 68.1
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 28 1.4 2.6 4% 58.6
K7812 経尿道的尿路結石除去術 その他のもの 20 3.1 2.8 0% 59.3

膀胱腫瘍の経尿道的手術、上部尿路結石に対する内視鏡手術を積極的に行っています。
前立腺癌放射線治療前のスペーサー・金マーカー留置は院内外の症例を幅広く行っています。

婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 46 1.2 4.6 0% 48.2
K867 子宮頸部(腟部)切除術 25 0.0 0.8 0% 38.1
K872-32 子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術、子宮内膜ポリープ切除術 その他のもの 23 0.2 0.9 0% 53.0
K879-2 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 21 1.4 8.1 0% 54.7
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 15 1.0 6.4 0% 51.0

全体的に症例数減少があったが、術後の在院日数はよくコントロールされていて順調な管理がなされたと考えられる。

眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 253 0.3 1.4 0% 74.4
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの - - - - -
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術 その他のもの - - - - -
K2682イ 緑内障手術 流出路再建術 眼内法 - - - - -
K279 硝子体切除術 - - - - -

白内障手術は、上記の表に掲載された単独での水晶体再建術以外に、硝子体手術や緑内障手術との同時手術も多数行っています。
硝子体手術は、増殖性硝子体網膜症手術や硝子体切除術も行っています。緑内障手術は、流出路再建術や濾過手術(線維柱帯切除術)も行っています。
また外来手術として、加齢黄斑変性・近視性脈絡膜新生血管・黄斑浮腫(糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症)に対する、抗血管新生薬硝子体注射を積極的に行っています。

耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3192 鼓室形成手術 耳小骨再建術 84 0.9 5.2 0% 55.2
K3191 鼓室形成手術 耳小骨温存術 48 1.1 4.5 0% 55.5
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型(汎副鼻腔手術) 31 1.0 5.1 0% 49.8
K344 経鼻腔的翼突管神経切除術 18 0.9 4.8 0% 42.0
K347 鼻中隔矯正術 17 1.0 5.8 0% 45.8

手術が必要な中耳炎に対して積極的に鼓室形成術を行っていますが、重症度に応じて一期的手術、あるいは段階手術を適宜選択し行っています。
一般的な顕微鏡手術に加え、低侵襲な内視鏡手術も行っています。他施設で手術を受けた後の、中耳炎再発例も多く治療しているため、入院期間はやや長めの傾向にあります。
耳硬化症に対するアブミ骨手術は、繊細で高度な技術が必要です。当院は近畿圏でも有数の手術件数を誇ります。また、通常の外科治療では聴力の改善が得られない高度感音性難聴の場合には、人工内耳による治療も実施しています。
内服治療効果が不十分な慢性副鼻腔炎例は、内視鏡およびナビゲーションを併用した副鼻腔手術を行っており、必要に応じて鼻中隔矯正術や翼突管神経切除術なども同時に行っています。

形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0871 断端形成術(骨形成を要するもの) 指(手、足) 12 3.8 23.5 0% 64.1
K617-2 大伏在静脈抜去術 - - - - -
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) 長径3cm以上6cm未満 - - - - -
K0391 腱移植術(人工腱形成術を含む。) 指(手、足) - - - - -
K427 頬骨骨折観血的整復術 - - - - -

当診療科は主として、体表面とそれに近い組織、器官の先天異常、外傷、腫瘍などによる障害に対し、これを形態的のみならず、機能的にも可及的正常に
再建することを目的としています。特に近年は、 マイクロサージャリーの技術が発達し、従来の外科の概念を変えるような手術が可能となってきています。
皮膚腫瘍切除や眼瞼下垂症手術と言った一般形成外科手術の他に、 顕微鏡下に血管や神経をつなぐマイクロサージャリーを用いた切断指肢の再接着や、欠損指の再建手術、手指の腱縫合などの手外科手術を多く手がけていることが、当診療科の治療の特色です。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 16 20.00%
180010 敗血症 同一 - -
異なる 30 38.00%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 71 89.00%
異なる - -

DPC

14桁あるDPCコードのうち、前6桁で示されております。DPCコード6桁とは病名による分類を意味しております。

播種性血管内凝固症候群

感染症などによって起こる全身性の重症な病態です。

敗血症

感染症によって起こる全身性炎症反応の重症な病態です。

真菌感染症

真菌による感染症です。

手術・処置などによる合併症

手術や処置等で一定割合で発生してしまう病態です。術後出血や創部感染などが代表例です。
 合併症は術式や患者様に因らず一定の確率で起こりうるもので、医療ミスとは異なります。

入院契機

入院契機(入院のきっかけ)病名が4つ疾患と「同一」か「異なる」かで集計を行っております。
 「同一」はある病気の診療目的で入院して、その病気の診療が主であったあったことを意味します。
 「異なる」はある病気の診療目的で入院したが、併存病名や入院中に発症した病名の治療が主になってしまったことを
 意味します。

重篤な外傷や、消化器外科などの大手術後に血液の凝固に異常をきたす播種性血管内凝固症候群がおこることがあります。また、色々な感染症などから血液中に病原菌が入り敗血症になり、これが原因で播種性血管内凝固症候群がおこることもあります。
また、当院は手術や処置などを行う際には合併症を起こさないように細心の注意を払い施行しています。また、起こり得る合併症についても事前に可能な限り患者さまに説明した上で、手術や処置の施行に対して同意を頂くよう努めています。

リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率

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肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
102 86 84.31%
肺血栓塞栓症は、エコノミークラス症候群と言われ、血のかたまり(血栓)が肺動脈に詰まることで呼吸困難や胸痛を引き起こし、突然死に至ることもある疾患です。
長期臥床や下肢または骨盤部の手術後等に発症することが多く、発症リスクに応じて、早期離床や弾性ストッキングの着用なでの適切な予防が重要となります。
当院では、弾性ストッキングの着用、間歇的圧迫装置や抗凝固薬により、高い割合で適切な予防対策を実施しています。

血液培養2セット実施率

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血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
398 381 95.73%
血液培養検査は、血液中に細菌が存在しているか、存在している場合、どのような菌なのかを確認、その菌に効果のある抗菌薬を選択するための検査です。
どんなに慎重に皮膚を消毒していても、皮膚の常在菌の混入を完全に防ぐことはできないため、血液培養を2セット採取することによ常在菌の混入を判断し易くなり、見落とし防止となっています。

広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率

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広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
95 76 80.00%
抗菌スペクトルとは、抗菌薬が殺菌できる細菌の示す範囲のことを表しています。
抗菌スペクトルが広い薬剤は、多数の細菌に効果が期待できる反面、耐性ができてしまうリスクがあります。
近年、新たな抗菌薬耐性菌が出現し、難治症例が増加しており世界的に問題となっています。
当院では、抗菌薬適正使用支援チームが抗菌薬適正使用を推進し、適切な抗菌薬の選択と投与量・投与期間を考え、安全に配慮した感染症治療に努めています。
更新履歴
2024.9.30
令和5年度データを掲載しました。