地域の医療機関の先生方へ
当院腎臓内科では腎臓専門医4名を含む8名のスタッフで、腎炎やネフローゼ症候群(年間70例程度の腎生検による正確な診断に基づく治療)、糖尿病や高血圧、膠原病による保存期腎不全の加療(教育入院を含む)、腎代替療法(腹膜透析、血液透析、生体腎移植の内科的管理)やシャント手術、シャントPTA、腹膜透析カテーテル挿入、さらに他施設とも連携して稀少疾患の遺伝子診断など幅広い診療分野をカバーしております。
当科では、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士など多種職による医療チームで毎週カンファレンスを行い、全入院CKD患者様に対してCKD初期から進行期腎不全に至るまで継続的な介入をおこなっています。
また腎臓病栄養学の観点から個々の患者さんの病態に応じた栄養指導をおこなっています。
近年SGLT2(sodium glucose co-transporter 2)阻害薬やHIF-PH (hypoxia-inducible factor -prolyl hydroxylase)阻害薬、MRA(ミネラルコルチコイド受容体阻害薬)など腎臓病をターゲットとした新しい治療薬が次々と出てまいりました。
当科ではこうした新規の治療薬も適応がある場合には積極的に導入し、腎臓病進行の防止に努めております。
腎代替療法では、特に腹膜透析患者数が多いことが特色で、腹膜透析カテーテル挿入術も自科でおこなっています。
尿検査異常で抽出されるCKD初期から進行期の腎不全、透析導入に至るまで、CKD患者さんおひとりおひとりの病態、価値観、心理的状況や社会的背景等を十分に考慮しながら最適な腎臓病治療を提供できるよう取り組んでおります。
診療内容、CKD病診連携体制
上述のように当科ではCKD初期から進行期腎不全に至るまで継続的な介入をおこなっております。またCKD病診連携を重視しております。下記に記しますような尿検査異常や腎機能低下を認める患者様がいらっしゃいましたら、是非ご紹介いただけますと幸いに存じます。
①検尿異常(血尿、蛋白尿)
血尿・蛋白尿にて当院をご紹介いただいた場合、詳細な尿検査・血液検査・腎臓超音波検査(血流評価)・CT・MRI等を行います。諸検査にて腎疾患の可能性がある患者様に対しては、入院して腎生検を行っております。特にIgA腎症に対する扁桃摘出・ステロイド療法やネフローゼ症候群に対する免疫抑制剤治療なども積極的に行っております。
②腎機能悪化(血清クレアチニン上昇)を認めるが、原因が不明な方
③慢性腎臓病(CKD)で腎臓病教育が必要な方
様々な検査で腎機能が低下している原因を特定し、腎機能改善やさらなる悪化の予防に努めています。また必要に応じて1週間(原則として水曜日入院)の教育入院をおこない、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士など多種職による医療チームで血圧調整、薬剤調整、栄養管理、腎臓リハビリテーション、心血管合併症の評価などを行います。
④急性腎障害(前回と比較し血清クレアチニンが1.5倍以上上昇)
様々な検査で腎機能が急激に低下している原因を特定し、その原因の除去を行います。急性糸球体腎炎などの場合は腎生検で正確な診断を行い、速やかに治療を開始します。また病態に応じて透析やアフェレーシスを施行します。
⑤SGLT2阻害薬やMRA(ミネラルコルチコイド受容体阻害薬)などの新規治療薬の導入が必要な方
当院で腎臓専門医が病態に応じて適切な治療薬を導入し、投与量や効果、副作用の出現などを確認し、かかりつけの先生方と連携しながら治療を進めてまいります。
⑥将来的に腎代替療法(血液透析・腹膜透析・生体腎移植)が必要になる可能性が高い方
当院では、医師、専門看護師による腎代替療法選択外来を設け、透析や腎移植などの治療について、十分な時間を確保して説明させていただいております。当院は血液透析・腹膜透析・生体腎移植の治療に対応しておりますので、患者様のご希望にも応じて適切な腎代替療法を選択いただけます。血液透析のバスキュラーアクセス(シャント)に対するインターベンション治療(VAIVT)や再建術、腹膜透析のカテーテルトラブル等にも緊急で対応しております。透析患者様の慢性合併症にも他科の先生方と協力して対応しております。
ご紹介いただく際には、簡単な病歴や既往歴、併存疾患、血液(血清クレアチニン、eGFR)、尿検査結果などの診療情報をご教示いただき、当院地域医療連携室:06-7501-1406(直通)までご連絡ください。迅速に対応させていただきます。