関西電力病院のドクターが解説する~ホスピタルチャージ~ 「目が見えにくい」

本記事は関西電力グループ情報誌「ぷれさん」より転載しております。

2015年2月20日更新

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ヒトが生きていくうえで欠かせない、視覚、聴覚、触覚、臭覚、味覚。これから語感から得られる情報のうち、実に80%以上が視覚によるものといわれています。百聞は一見にしかず、という故事のように、□から得られる情報量の多さ、確かさはよく経験することです。そんな情報の窓口である目が見えにくくなったら、たちまち日常生活に支障をきたしてしまいます。
そこで、今回は、私たちが注意すべき”目が見えにくい”という症状について関西電力病院の専門医に聞きました。

内科

目の症状はさまざまな疾患に関係する
内科部長 斎藤 隆晴
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目がかすむ、目の前がぼやけるなどの異変がある場合、たいていの患者さまは眼科に行かれることでしょう。そこで目の病気が見つかれば眼科治療が行なわれますが、目の見えにくさは、必ずしも目の病気にだけ出てくる症状とは限りません。眼科以外の重篤な病気でも、しばしば目に異変があらわれる場合があるからです。
目が見えにくい原因が脳血管障害であることも

眼科①

いま話題のiPS細胞に よる加齢黄斑変性症治療とは
眼科部長 竹内 篤
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加齢黄斑変性症は、網膜の中心にある黄斑部の機能が低下し、視界の中心部から見えにくくなる高齢者に多い病気です。話題のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた初めての臨床研究の応用にこの病気が選ばれたことから、いま関心が高まっています。そこで、加齢黄斑変性症とはどのような病気か、現在行なわれているiPS細胞による臨床研究がどのようなものか、ご説明したいと思います。
高齢者に増加する目の難病 加齢黄斑変性症

眼科②

目の健康を保つには 定期的な眼科検診が有効
眼科副部長 三好 秀幸
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目が見えにくい患者さまに対し、眼科では、視力や視野の欠け、眼底や眼圧、涙の状態などを調べ、病気を鑑別していきます。判断基準になるのが、レンズで視力が矯正できるかどうかで、矯正できる近視や乱視、老眼は病気ではありません。一方、矯正できない場合には、病気が隠れていると考えます。
40歳をすぎたら緑内障のチェックを

糖尿病・代謝・内分泌センター

慢性高血糖が引き起こす 目の血管障害
糖尿病・代謝・内分泌センター 部長 矢部 大介
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検診を受けたことがない方が「目がかすむ」「ものが見えにくくなった」などの症状で眼科を受診され、はじめて糖尿病と診断されることも少なくありません。慢性的に血糖値が高い状態が続いた場合に生じる糖尿病の合併症のひとつが糖尿病網膜症です。わが国の失明にいたる原因のなかでは、緑内障(20.7%)についで2番目に頻度の高い病気(19.0%)です。毎年約3、000人の方が糖尿病網膜症のために失明しており、たとえ失明を免れたとしても視力低下のために著しく生活の質が下がってしまいます。糖尿病網膜症の発症を予防し、たとえ発症したとしても進行を遅らせるために、糖尿病の管理がきわめて重要です。
慢性高血糖が引き起こす 目の血管障害

神経内科

脳血管障害や 神経難病のサインを読み取る
神経内科副部長 井上 学
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神経内科では患者さまが視覚の異常を訴えられた場合、それが脳血管障害によるものかどうか慎重に見極めます。一過性脳虚血発作は、脳梗塞の前触れともいえる病気です。片側の麻痺やしびれ、言葉の障害といった症状を示すことが多いですが、両目とも同じ領域の視野が欠ける、二重に見えるといった視覚障害を認めることがあります。数分から30分、長くて24時間以内に症状は消失しますが、油断は禁物です。一過性脳虚血発作をそのまま放っておくと、15〜20%の人が3ヵ月以内に脳梗塞を発症。そのうちの半数は数日以内、早い人で48時間以内に脳梗塞を引き起こしているからです。
放置すると危険な一過性脳虚血発作

循環器内科

不整脈によっても 目の見えにくさが生じる
循環器内科医員 小正晃裕
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目が見えにくいという症状は心臓の疾患によってもあらわれます。この場合の見えにくさは、視力の低下ではなく、目の前が真っ暗になって一時的に意識が遠のく、眼前暗黒感といわれるもの。脳への血流が不足して起こるめまいの一種です。この眼前暗黒感が生じる病気の代表が不整脈です。不整脈とは、心臓の筋肉を動かす機能に異常をきたし、心臓のリズムが変則的になることで脈拍に異常が生じる病気です。
慢性高血糖が引き起こす目の血管障害