循環器内科

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血管のしなやかさを保つことが大切です

循環器内科部長
石井 克尚
Katsuhisa Ishii

血管は体の中でどのような役割を担っているのでしょうか。

血管は全身をくまなくめぐり、血管の中を流れる血液により臓器や組織に酸素や栄養分を供給し、不要な二酸化炭素や老廃物などを回収しています。私たちの体の中には脳、心臓、肺、腎臓、肝臓のほか、さまざまな臓器があり、それらのつなぎ役が血管です。「人は血管とともに老いる」と言われています。血管が老いると組織に十分な酸素や栄養分を運ぶことができなくなり、細胞や臓器が衰え、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、狭心症、腎不全といった疾患を引き起こすことになります。つまり血管とは私たちの体を健康に保つために重要な役割を果たす「ひとつの臓器」なのです。

動脈硬化とはなんでしょうか。またどうして起こるのでしょうか。

健康な血管とはしなやかな血管のことで、血液がスムーズに流れていきます。反対に不健康な血管とは硬くなったボロボロの状態を指します。不健康な血管の中にはプラークというこぶ状の病変や血栓などができ、狭くなったり詰まったりしており血液がうまく流れません。このように血管が硬くなること、狭くなること、血栓で詰まりやすくなることが動脈硬化なのです。血管というと土管のようなイメージがあるかもしれませんが、実際はバウムクーヘンのように層になっていて、その最も内側に「血管内皮」があります。好ましくない生活習慣によって血管内皮が傷つき機能が低下し、動脈硬化が起きるのです。人の命を預かる我々医師にとっては、血管内皮とは人の健康状態を映し出す「鏡」のような存在で、その機能を健やかに保つことが非常に大切です。

血管を健やかに保つためにはどうすればいいか教えてください。

近年の研究では、動脈硬化はある程度まで回復することが可能とされています。また、診断技術も進歩しており、血管超音波検査や冠動脈CTは体に痛みを感じることはありませんし、早期に血管の病気を発見できるようになっています。早期に診断ができれば、何歳からでもしなやかな血管にリセットすることができます。生活習慣を振り返り、血管の健康が気になる方には1日でも早く検査を受けていただきたいと思います。