清野 裕総長のAmerican Diabetes Association 2016 Harold Rifkin Award受賞決定

2016年 6月 3日

清野 裕総長が、American Diabetes Association(ADA/アメリカ糖尿病学会・協会)の2016年「Harold Rifkin Award for Distinguished International Service in the Cause of Diabetes」の受賞が決定しました。

この賞は、世界レベルの糖尿病対策において、卓越した業績を挙げた個人に贈られるものです。表彰式は、2016年6月10-14日にアメリカ・ニューオリンズで開催される第76回ADA年次学術集会の期間中に行われます。

受賞理由

清野氏は、京都大学名誉教授であり、現在は関西電力医学研究所長を兼任されています。糖尿病領域における清野氏の多岐にわたる経歴とその貢献は、本賞の由来となったHarold Rifukin医師自身の功績に匹敵するものです。

四半世紀以上にわたり、清野氏は糖尿病医療の分野で最も大きな貢献をした研究者のひとりであり続けました。そのことは、発表論文数500以上、論文の引用回数1万件以上という数字にも表れています。

アジア地域の糖尿病患者のために、糖尿病治療の標準化と患者教育の重要性を提唱した先駆者として、清野氏は、糖尿病研究と国際的な糖尿病対策において、多大な貢献を果たしています。

永年の研究により、清野氏は、アジア人の2型糖尿病はインスリン抵抗性よりもインスリン分泌障害により特徴づけられることを明らかにしてきました。さらに、清野氏は、インスリン分泌障害を是正しうるインクレチンの生理学的研究を発展させ、インクレチンの作用にもとづくインスリン分泌促進薬の開発に大きく貢献しました。

ADA・サイエンス・メディシン部門の会長Desmond Schats先生は、清野氏の受賞に際し、次のような祝辞を寄せています。

「清野先生の今回の受賞を心から祝福します。あなたの傑出した研究キャリアは、インクレチン生理学とインクレチンにもとづく薬剤の開発において私たちを前進させてくれました。清野氏の卓越した研究は、世界レベルでアジア人の糖尿病治療に大きなインパクトを与えています。」

清野氏は、日本糖尿病学会の理事を20年近く、また公益社団法人日本糖尿病協会の理事長を10年以上務めています。また、日本における世界糖尿病デー実行委員会の委員長であり、長らくInternational Diabetes Federation Western Pacific Region(IDF-WPR/国際糖尿病連合・西太平洋地区)の議長も務めていました。

さらに、特筆すべきこととして、清野氏は、アジアの糖尿病学の確立を提唱し、Asian Association for the Study of Diabetes(AASD/アジア糖尿病学会)を設立、初代議長として学会の運営にあたっています。アジア糖尿病学会は、現在までに17カ国から20の糖尿病関連団体が参加する組織に成長しています。

清野氏は、日本のみならずアジア全域の糖尿病患者の生活の質向上を目指して、アジアの国々と糖尿病関連団体の連携に取り組み、国際的な糖尿病対策という無類の挑戦を続けています。

賞の概要

Harold Rifkin医師の功績を称えて創設された賞で、国際的な糖尿病対策に傑出した功績を挙げた人、糖尿病患者の生活や糖尿病医療を向上させるために、世界規模で糖尿病の脅威の認知を高めることに貢献した人を顕彰します。

Rifkin医師は、特に世界規模で糖尿病の脅威の認知を高めることを支援し、糖尿病関連団体の連携促進に尽力しました。

American Diabetes Associationとは

American Diabetes Association(ADA/アメリカ糖尿病学会・協会)は、1940年に設立された「糖尿病の撲滅」をリードする団体です。協会は、糖尿病の予防、治療、管理に関する研究を支援し、数多くの地域社会にサービスを提供。また、具体的で信頼できる情報を発信し、糖尿病患者の権利を守る活動を行っています。アメリカ糖尿病協会の使命は、糖尿病の予防と治療を通じてすべての糖尿病患者の生活の質を高めることにあります。


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