腎臓内科

関西電力病院腎臓内科の診療について

当院腎臓内科では、腎臓専門医4名を含む腎臓内科スタッフで腎炎やネフローゼ症候群、糖尿病や高血圧、膠原病による保存期腎不全の加療(教育入院を含む)、腎代替療法(腹膜透析、血液透析、生体腎移植の内科的管理)やシャント手術、シャントPTA、腹膜透析カテーテル挿入、さらに他施設とも連携して稀少疾患の遺伝子診断など幅広い診療分野をカバーしております。また当科では、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士など多種職による医療チームで、慢性腎臓病(CKD)の全入院患者様に対して継続的な介入をおこなっています。近年SGLT2(sodium glucose co-transporter 2)阻害薬やHIF-PH (hypoxia-inducible factor -prolyl hydroxylase)阻害薬、MRA(ミネラルコルチコイド受容体阻害薬)など腎臓病をターゲットとした新しい治療薬が次々と出てまいりました。当科ではこうした新規の治療薬も適応がある場合には積極的に導入し、腎臓病進行の防止に努めております。腎代替療法では、内シャント手術や腹膜透析カテーテル挿入術も自科でおこなっています。CKD初期から進行期の腎不全、透析導入に至るまで、患者さんおひとりおひとりの病態、価値観、QOL(生活の質)、心理的状況や社会的背景等を十分に考慮しながら最適な腎臓病治療を提供できるよう取り組んでいます。検査や治療に際しては、考えられる選択肢について十分に時間をかけてご説明し、納得できる意思決定が行えるよう支援させていただきます。

対象となる症候や代表的な疾患

腎疾患一般(検尿異常、急性腎炎、慢性腎炎、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、水・電解質異常、慢性腎不全、血液透析、腹膜透析、腎移植、維持透析合併症治療など)に幅広く対応しております。

蛋白尿・血尿

蛋白尿や血尿といった検尿異常は、糸球体腎炎などの腎臓疾患の主要な兆候です。検診などで指摘された際には、当科外来を受診ください。当院腎臓内科では、外来で診察医が尿検体を検鏡し、必要に応じて腎生検などさらに詳しい検査を行い、腎疾患の早期診断、早期治療に努めています。

クレアチニン上昇・eGFR低下

血清クレアチニンの上昇は、腎機能が低下している可能性を示唆しています。詳細な問診や様々な検査で腎機能が低下している原因を特定し、速やかに適切な加療を行うことで腎機能改善やさらなる悪化の予防に努めています。

IgA腎症、ネフローゼ症候群

IgA腎症のなかでも、将来的に腎機能が低下し透析が必要になる可能性のある患者様に対して、ステロイド治療や扁桃摘出術を行っています。また最近では上述のSGLT2阻害薬やMRAなどの腎臓病をターゲットとした新規薬剤も複数出てきており、当科ではこうした新規治療薬も導入し、腎不全の進行予防に努めています。ネフローゼ症候群に対する治療ではステロイドが中心的に用いられますが、免疫抑制剤も適宜併用することにより、ステロイドの副作用が少なくなるように治療を行っています。

糖尿病性腎臓病(糖尿病関連腎臓病)

糖尿病性腎臓病(糖尿病関連腎臓病)は糖尿病による高血糖状態が続くことにより生じる糖尿病の合併症ですが、透析導入主要原疾患の第1位(40%程度)を占め、その早期診断と進行予防が非常に重要です。本疾患は、早期からの食事療法やさまざまな薬物治療による血糖や血圧、脂質のコントロールを行うことで進行が抑制できることが明らかになっています。当科では糖尿病内科や管理栄養士、薬剤師とも連携しながら早期からの多面的な介入を行っています。

膠原病関連腎臓病

当院では腎臓内科とリウマチ膠原病科が連携して診療を行っています。近年したがって血管炎や全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチなどの膠原病に関連した腎臓病については、リウマチ膠原病科との併進で腎臓のみならず原疾患である膠原病の加療も並行して行っております

当科の入院プログラム

腎生検入院

腎臓病の疑いがある患者様には、4日間(原則として月曜日から木曜日)入院していただき、腎生検を行っています。腎生検にて正確に腎臓病の診断をした上で、治療を行っています。

  • 月曜日 入院
  • 火曜日 腎生検。術後6時間絶対安静。その後、翌朝までベッド上安静。
  • 水曜日 血液検査・尿検査。安静解除。
  • 木曜日 退院

検査結果は、退院後初回外来にてバーチャルスライドを用いて腎生検組織を実際に見ていただきながらご説明させていただきます。また腎生検結果をふまえて治療が必要な際には、適切な治療を速やかにご提案し、開始させていただきます。

慢性腎臓病(CKD)検査教育入院

当院では1週間のプログラム(原則として水曜日から)で検査・教育入院を行っています。
入院中は、患者様の腎機能がそれ以上悪くならないよう、あるいは透析を少しでも遅らせられるように、腎機能低下の原因精査(とくに全身の血管病変や夜間高血圧の評価)、食事療法・内服加療などを行っています。当科では、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士など多種職による医療チームで毎週討議を行い、入院中に検討した問題点や治療法をふまえて退院後も継続的に介入を継続していきます。

腎代替療法

腎機能低下が進行し、将来的に腎代替療法が必要になる可能性が高い患者様には、透析や腎移植などの治療についてその概要を詳細に説明させていただき(療法選択外来)、適切な時期に血液/腹膜透析の導入や生体腎移植を行っています。血液透析に関しては、当院で内シャント作成や透析導入を行い、透析導入後の通院透析はご自宅や職場に近い透析クリニックへ紹介させていただきます。腹膜透析に関しては、その導入からその後の定期フォローまで当院で行わせていただいております。また生体腎移植も当院でうけていただくことが可能です。

血液浄化センター

015年6月に血液透析や体外循環治療を行える最新の機器を備えた血液浄化センターを開設しました。主として入院中の透析患者様のための施設で、ベッドは6床あります。なお当院では血液透析中の合併症(シャントトラブルや感染症)にも迅速に対応しております。さらに腹膜透析外来、腹膜透析と血液透析のハイブリッド透析も行っております。

診療実績

2023年
名称 件数
腎生検 60 件/年
腎臓病検査教育入院 61 件/年
生体腎移植 2 例/年
腹膜透析関連手術 21 件/年
内シャント手術 22 件/年
バスキュラーアクセスインターベンション治療 85 件/年
体外循環治療数 2200 回/年

施設認定

  • 日本腎臓学会研修施設
  • 日本透析学会認定施設

研究活動

当院腎臓内科では、さまざまな腎疾患を患う患者様に対して現在の最新のエビデンスに基づく最適な医療の提供を行うとともに、日々の臨床現場から得られた問題点を適切に抽出、デザイン化し、解明していくことを目標とする研究活動にも力を入れております。

とくに①、腎臓病患者教育効果に関する検討、②腎臓病栄養学に関する研究、③液性因子の腎臓病進展における病態生理学的意義の研究、④新しい腹膜透析療法に関する検討などを主軸として、日々の臨床活動に還元できるような研究を目指して活動を進めています。


診療科紹介・部門