消化器外科
研修の目標
一般外科・消化器外科として
- 一般外科・消化器外科の診断と治療の基本を習得する
- 一般外科・消化器外科関連領域の必要な知識、技術を習得する
- 常に新しい知識と技術を導入し、未知への探究心を維持する
- 救命・救急を含むプライマリーケアを習得する
ことが研修の目標となる。
研修医は大学を卒業し、社会で働く社会人でもある。外科医となるための研修であるが、それはまた社会人としての研修でもある。患者との接し方などにおける医師としての基本姿勢を学ぶとともに社会人としてのマナーも身につける必要がある。
1対1の指導の中から外科医の生活を知り、外科医としての全人的な研修を受けること、また、医療は複数の医師とのコ・メディカルの共同作業、すなわちチーム医療により成り立っているので、自らを含めて、それぞれの役割や立場を理解する心や、協調性を養うことも重要な目標である。
研修の期間と
年次別スケジュール
外科研修期間は、1年目3ヶ月が必修であり、選択科として2年目にさらに最長6ヶ月の研修が可能である。
研修の指導体制
指導責任者:外科科長 滝 吉郎
指導医 3名
指導医が1対1で指導にあたる。
具体的な到達目標
基本的には外科部門、初期診療の到達目標をあわせたものである。此処の項目と到達目標については資料(卒後臨床研修ハンドブック、後述)に示す。
研修医を対象とした具体的なカリキュラム・教育活動
- 病棟カンファレンス
- 部長回診
- 抄読会
- 学会、地方会、研究会での発表
研修医が参加して有益と思われるその他の活動
- 院内合同カンファレンス
- セミナー・講習会
- 学会、地方会、研究会への入会と参加
日本外科学会、日本消化器外科学会および日本癌治療学会には原則として入会するものとする。 - 日本外科学会認定医
- 日本消化器外科学会認定医
上記の二つの学会の認定医は日本において一般外科・消化器外科医として診療、研究を行っていくために是非とも必要な資格であるので、認定医の資格習得が出来るように指導を行う。
目標達成度の評価方法
- 研修医の自己評価
各項目における獲得目標を研修期間にどれほど達成できたかを研修医自ら評価する。評価の段階は以下の表に従って評価する。評価段階 到達レベル 5 完全に独立して出来る 4 必要に応じて指導を受ければ、殆ど独立して出来る 3 指導を受けながら、自分で出来る 2 手伝うことが出来る 1 できない 研修期間終了時にはその期間の研修の成果、問題点、研修内容への希望など、研修の総括を行う。該当年度で最終獲得目標が達成できなかったときには、次年度の研修に置いて獲得できるように努力し、それでも達成できなかったときには、さらに次の年度で獲得できるように努力する。
- 指導医の評価
研修医の行った自己評価の各項目に対して、指導医としての評価を行う。評価の段階は研修医の自己評価と同様に、各項目の最終獲得目標を5として評価する。研修期間終了時にはその期間に研修医が得たと思われる研修の成果、問題点、その後の研修を受けるときの注意点を指導医の意見を与える。 - カリキュラムおよび指導体制の評価
大学および関連施設の研修指導責任者は、年に2回外科卒後臨床研修連絡会議を開き、各研修医の研修状況を把握すると共に、研修における問題点について協議し、カリキュラムの改善を計る。
資料
外科卒後臨床研修ハンドブック
~外科における到達目標~
一般目標
- 全ての臨床医に求められる基本的な診療に必要な知識・技能・態度を身につける。(50)
- 緊急を要する病気または外傷を持つ患者の初期診療に関する臨床的能力を身につける。(10)
- 慢性疾患患者、高齢患者、小児患者や臓器移植を要する患者の管理の要点を知り、リハビリテーションと在宅医療・社会復帰の計画立案が出来る。(10)
- 末期患者を人間的・心理的理解の上にたって、治療し管理する能力を身につける。(10)
- 患者および家族とのよりよい人間関係を確立しようと努める態度を身につける。(50)
- 患者の持つ問題を心理的・社会的側面をも含め全人的に捉えて、適切に解決し、説明・指導する能力を身につける。(50)
- チーム医療において、他の医療メンバーと協調し協力する習慣を身につける。(50)
- 指導医・他科または他施設に委ねるべき問題がある場合に、適切に判断し必要な記録を添えて紹介・転送することが出来る。(10)
- 医療評価が出来る適切な診療録を作成する能力を身につける。(50)
- 臨床を通じて思考力、判断力および創造力を培い、自己評価をし、第三者の評価を受け入れフィードバックする態度を身につける。(50)
具体的目標
- 基本的診療法=卒前に習得した事項を基本とし、受持症例についてたとえば以下につき主要な所見を正確に把握できる。(50)
- 面接技法(患者、家族との適切なコミュニケーションの能力を含む)
- 全身の観察(バイタルサイン。精神状態、皮膚の観察、表在リンパ節の診察を含む)
- 頭、頚部の診察(眼底検査、外耳道、鼻腔、口腔、咽喉の観察、甲状腺の触診を含む)
- 胸部の診察(乳房の診察を含む)
- 腹部の診察(直腸診を含む)
- 神経学的診察
- 基本的検査法(1) (50)
- 検尿
- 検便
- 血算
- 出血時間測定
- 血液型判定・交差適合試験
- 簡易検査(血糖、電解質を含む)
- 動脈血ガス分析
- 心電図
- 基本的検査法(2) (30)
適切に検査を選択・指示し、結果を解釈できる。- 血液生化学的検査
- 血液免疫学的検査
- 肝機能検査
- 腎機能検査
- 肺機能検査
- 内分泌検査
- 細菌学的検査
- 薬剤感受性検査
- 髄液検査
- 超音波検査(ドップラーUSを含む)
- 単純X線検査
- 造影X線検査
- CT検査
- MRI検査
- 血管造影検
- 核医学検査
- 基本的検査法(3) (30)
適切に検査を選択・指示し、専門家の意見に基づき結果を解釈できる- 細胞診・病理組織検査
- 内視鏡検査
- 基本的治療法(1) (30)
適応を決定し、実施できる- 薬剤の処方
- 輸液
- 輸血・血液製剤の使用
- 抗生物質の使用
- 副賢皮質ステロイド薬の使用
- 抗腫瘍化学療法
- 呼吸管理
- 循環管理
- 経腸栄養法
- 食事療法
- 療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄を含む)
- 基本的治療法(2) (30)
必要性を判断し、適応を決定できる。- 外科的治療
- 放射線治療
- 医学的リハビリテーション
- 精神的、心身医学的治療
- 基本的手技 (50)
- 注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保)
- 採血法(静脈血・動脈血)
- 穿刺法(腰椎、腹腔、胸腔等を含む)
- 導尿法
- 浣腸
- ガーゼ・包帯交換
- ドレーン・チューブ類の管理
- 胃管の挿入と管理
- 局所麻酔法
- 滅菌消毒法
- 簡単な切開・排膿
- 皮膚縫合法
- 包帯法
- 軽度の外傷の処置
- 小児麻酔(セデーション)
- 肝生検
- 救急処置法 (10)
緊急を要する疾患または外傷を持つ患者に対して、適切に処置し、必要に応じて専門医に診療を依頼することが出来る。- バイタルサインを正しく把握し、生命維持に必要な処置を的確に行う。
- 問診、全身の診察及び検査等によって得られた情報をもとにして迅速に判断を下し、初期診療計画を立て、実施できる。
- 患者の診療を指導医または専門医の手に委ねるべき状況を的確に判断し、申し送りないし移送することが出来る。
- 小児の場合は保護者から必要な情報を要領よく聴取し、乳幼児に不安を与えないように診察行い、必要な処置を原則として指導医のもとで実施できる。
- 末期医療 (10)
適切に治療し、管理できる。- 人間的、心理的立場に立った治療(除痛対策を含む)
- 精神的ケア
- 家族への配慮
- 死への対応
- 患者・家族との関係 (50)
良好な人間関係の下で、問題を解決できる。- 適切なコミュニケーション(患者への接し方を含む)
- 患者、家族のニーズの把握
- 生活指導(栄養と運動、環境、在宅療養などを含む)
- 心理的側面の把握と指導
- インフォームド・コンセント
- プライバシーの保護
- 医療の社会的側面 (10)
医療の社会的側面に対応出来る。- 保健医療法規・制度
- 医療保険、公費負担医療
- 社会福祉施設
- 在宅医療、社会復帰
- 地域保険・健康増進(保健所機能への理解を含む)
- 医の倫理・生命の倫理
- 医療事故
- 麻薬の取り扱い
- 医療メンバー (10)
様々な医療従事者と協調・協力し、的確に情報を交換して問題に対処できる。- 指導医・専門医のコンサルト、指導を受ける
- 他科、他施設へ紹介・転送する。
- 検査、治療・リハビリテーション、看護・介護等の幅広いスタッフについて、チーム医療を率先して組織し、実践する。
- 在宅医療チームを調整する。
- 文書記録 (50)
適切に文書を作成し、管理できる。- 診療録等の医療記録
- 処方箋、指示箋
- 診断書、検案書その他の証明書
- 紹介状とその返事
- 診療計画・評価 (50)
総合的に問題点を分析・判断し、評価が出来る。- 必要な情報収集(文献検索を含む)
- 問題点整理
- 診療計画の作成・変更
- 入退院の判定
- 症例提示・要約
- 自己及び第三者による評価と改善
- 剖検
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