救急集中治療科シニアレジデント

当院は、日本専門医機構救急科領域専門研修制度の基幹病院であり、当院独自のプログラムによって救急科専門医の取得が可能です。
当院の救急科専門医制度のプログラムは、主に二次救急診療として総合診療的な側面と集中治療室での診療を通じて重症患者の管理を経験することを特徴としています。
日本専門医機構集中治療科専門研修施設にも認定されており、その認定に必要な症例も専門医取得に必要な症例も十分に経験できます。 救急科専門医の取得から引き続いて集中治療科専門医の取得も可能となります。

[動画] 救急科専門研修プログラム 

関西電力病院 救急集中治療科では、救急外来診療と集中治療室(ICU)管理を併せて担当し、重症救急患者を受け入れる診療体制をとっています。

診療体制

二次救急告示医療機関(北米ER型)および災害協力施設として救急患者を受けいれています

重症疾患のみでなく全ての疾患において、時間内外問わず受け入れを積極的に行っています。平日は当科スタッフがER専従医師として初期診療をおこない、専門科協力のもと疾患に応じた診療を行っています。

更に救急外来で診療した患者さまの一部を当科で入院診療も行っています。救急外来だけで完結しない継続した診療を行えます。

ICUでの診療対象は重症救急患者と大手術後患者が中心です。

当院の集中治療室(以下ICUと呼びます。)は厚生労働省認可のICU(6床)で、いわゆるsemi-closed ICUです。当科の医師がICU専従医として、主に全身管理を担当し、各専門科の担当医(主治医)とともに診療にあたっています。

上述のように、救急集中治療科として重症救急患者を受け入れるだけでなく、心臓血管外科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科などの外科系大手術後症例、院内入院中の重症症例で集学的治療を要する症例など、収容される症例は多岐にわたります。

generalistの育成図
ER(救急外来)の図

小規模のICUだからこそ出来るきめ細かい診療の実践!

当院ICUは6床のみです。昨今、問題となっているPICS対策として、理学療法士が半日常駐することで早期リハビリテーションに取り組むなど、一人一人の患者さまに対して、全スタッフによりきめ細かい濃厚な医療を提供しています。当院ICUで研修する際には、ICUに入室された全ての患者さまに、全人的な医療を提供することで携わることが可能です。この点が、大規模なICUとの大きな差だと考えています。

救急科専門医、集中治療科専門医の取得を目指す方は是非一度見学に来てください。 集中治療専門医は、サブスペシャリティー領域です。麻酔科専門医、内科専門医、小児科専門医を取得後に集中治療専門医を目指す方も是非お越しください。 より高いレベルの診療を行うためにも、若い多くのスタッフを常に募集しています。

救急集中治療科の後期研修で学んでいただくこと

総合医の育成を目指します

当院、救急集中治療科では、後期研修医の先生方に各種ガイドラインに則った治療、理論・根拠に基づいた最新の治療を実践する事を学んで頂くだけが研修の目標と思っておりません。軽症から重症まで幅広い臨床症例を経験していただく中で、総合医となるために以下の4点を研修していただきたいと思っております。

  • 自らの知識、技術を高めていただく。

    先ずは、集中治療医としての、specialityを高めましょう。重症度の高い救急患者の管理を学び、全体を通じてプライマリケア能力を高めることを目標とします(下記「一般目標」、「行動目標」を参照してください。)集中治療専門医を目指しましょう。

  • 初期研修医を指導していただく。

    人を教えるためには、自らが十分理解していないといけません。後輩初期研修医を教育することで、(1)の研修をより十分なものとすることが出来るでしょう。また、人からの質問には、自分が考えもしなかったような発想の質問があります。そのような質問を受けることは、自然と自分の知見を高めていくとになると思います。

  • 臨床研究をしましょう。

    これまで当たり前のように行われてきた診療や論文として紹介されている治療方法にも、実はエビデンスレベルの低いものや再検討すると間違っているものもあります。更に、日常の診療の中でももっと工夫した方がより良い結果が得られるものがあります。日頃から、何でも自分の目で確かめるようにしましょう。そして、研究を通して新しく得られた知見を学会発表や論文掲載していきましょう。

  • コミュニケーション能力を身につけましょう。

    当院でのICU診療は、院内それぞれの専門科の協力を必要とします。それだけでなく、診療にあたっては院内の他部門(看護師、薬剤師、放射線技師、理学療法士、臨床工学士、管理栄養士等)の職員の協力が必要です。それぞれの専門家の知識および技術を全て有するスーパースターのような医師はあり得ません。それぞれの専門科と良好な関係を構築するコミュニケーション能力が医師には必要です。勿論、時には議論してお互いに知見を高めていくことも必要です。このような上手なコミュニケーションをとる能力が、特に集中治療医には必要です。

以上のような研修に加えて、subspeciality習得のために、麻酔科、内科各専門科などのローテ−ションも相談に応じます。

一般目標

院外・院内救急症例、大手術後症例の診察、観察、病態把握、治療を各専門領域の医師やコメディカルと協力して行えるようになるために、幅広い知識、技術、協調性を身に付ける。

行動目標
  • 身体の生理(形態、機能)を理解して、的確な身体所見を得られる。
  • 補助診断法としての検査(血液、放射線、生理等)の意味、適応について理解し、正しく評価できる。
  • 1)、2)の所見に加えて、必要時には各専門領域の医師、コメディカルと連携をとって、正しい診断、病態の把握ができる。
  • 各種疾患の病態生理を正しく理解する。特に上記集中治療教育プログラムに記載されている疾患に加えて、下記の病態についても理解する。 (ア)くも膜下出血(SAH)(イ)脳内出血 (ウ)脳梗塞意識障害 (エ)急性呼吸不全(ALI/ARDS) (オ)慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪 (カ)急性心不全(キ)急性心筋梗塞(ク)PCI術後(ケ)急性薬物中毒(コ)Septic Shock(Sepsis,SIRS)(サ)急性腎不全(シ)急性肝不全(劇症肝炎)(ス)重症急性膵炎(セ)大手術後(ソ)救急蘇生後
  • 下記の項目について、知識として正しく理解し、診療の場で実践できる。                           (ア)脳圧(ICP)の管理方法 (イ)(特に脳動脈瘤破裂による)SAH(くも膜下出血)の術後管理(脳循環の管理)(ウ)血液ガス所見の読み方(エ)気管挿管の適応と方法(オ)人工呼吸管理の適応(カ)人工呼吸器のモードの種類と適応(CMV,PCV,PSV,CPAP,PEEP)(キ)人工呼吸器からの離脱時期と方法(ク)呼吸不全の薬物療法(急性呼吸不全(ALI/ARDS)、COPD(ケ)カテコラミン類の使用方法(コ)肺動脈(Swan-Ganz)カテーテルのデータの読み方(サ)急性心筋梗塞の初期治療(シ)IABPの適応(ス)PCPSの適応(セ)急性薬物中毒の初期治療(ソ)SIRS,Sepsis,Septic shock、DICの病態と治療(タ)乏尿に対する対処(チ)急性血液浄化法の種類と適応(CHD,CHF,CHDF,PMX-DHP,PE) (ツ)栄養投与法とその適応(テ)低体温療法の適応(ト)脳死判定基準
  • 各種ガイドラインを含めたエビデンスに基づいた治療を行える。
  • 治療法だけでなく手技についても、知識として正しく理解し、診療の場で実践できる。また、その目的、方法、合併症と合併症に対する対策を正しく理解し、患者さまやそのご家族に対して説明して実施できる。
  • 集中治療はチーム医療であることを認識し、常にカンファレンスに参加して治療方針について討論できる。
  • 専門医資格の取得  当院は、救急科専門医制度の基幹病院であり、当院独自のプログラムによって救急科専門医の取得が可能です。さらに日本専門医機構のサブスペシャリティ領域である集中治療科専門研修施設にも認定されています。救急科専門医取得後に引き続いて集中治療科専門医を取得することも可能ですし、当院の他の診療科で基本領域の専門医取得後に集中治療専門医を取得することも可能です。
プログラム
【研修期間】
  • 救急科専門医取得に必要な研修期間は3年です。
  • 集中治療科専門医取得のための研修はカリキュラム制です。研修期間は最短 2 年、最長 5 年です。カリキュラム制の詳細は、日本集中治療医学会のホームページ(https://www.jsicm.org/about/)を参照してください。

    2024年4月時点では、救急科、麻酔科、内科、小児科以外の基本領域からは、機構認定集 中治療科研修カリキュラムへの登録はできません。(ただし、機構 認定19基本領域専門医で、かつ学会認定制度の条件を満たした場合 は、学会認定専門医の受験資格が得られます)

    救急科、麻酔科、内科、小児科の基本領域専門研修が修了していれば、専門医試験を受験する前に専攻医登録が可能であるが、関連する基本領域の専門医資格を取得しない限り修了することはできない。 (ただし、機構認定19基本領域専門医で、かつ学会認定制度の条件を満たした場合は、学会認定専門医の受験資格が得られます)

  • 院内の他の診療科に属する特任医師の方の3-6ヶ月間のICU研修も希望に応じてお受けいたします。
【達成目標】

達成目標の基準を以下の5段階とします。全ての知識、技術等に関して、研修期間が残り2年となる時点までに「4」、残り1年となる時点までに「5」を目指します。
5:自分自身で行うにあたって、患者本人、家族や他科の医師に対して納得のいく説明が出来る。
4:下級医師に対して自信を持って指導できる。また、質問に答える事が出来る。
3:自信をもって、自分自身で出来る。
2:ほとんど自分自身で出来るが、時々上級医の助言、指導を必要とする。
1:上級医師の指導下でないと、自分自身で行なうには少々不安がある。

研修初期にはICUにおける患者様の診察の仕方(診察ポイント)を修得し(step 1)、その後病態の把握(アセスメント)が出来るようにします(step 2)。そして研修後期には診療計画を立てられるようにします(step 3)。どの時点で次のstepに進むかは、各医師の技量に応じて判断します。

実績

2023年度診療統計

救急搬送受入件数(受入総数2,984件)
 
2023年度救急搬送受け入れ件数(受け入れ総数2,984件)
全救急診療患者数

ICU

入室患者数:511人
平均在室日数:3.65日
平均年齢:68.16歳
男女比:男306人、女205人

2023年 ICU入室患者入室理由
2023年 ICU入室患者入室経路

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