研修プログラムの概要
シニアレジデント研修プログラムの概要
関西電力病院では、卒後3年目以降において各人の選択した専門分野に重点を置いた研修を行う臨床研修プログラムを持っており、糖尿病研修カリキュラムはこのプログラムに沿って運営されます。期間はおおむね3年間です。
指導責任者
関西電力病院 院長 清野 裕、糖尿病・代謝・内分泌センター長 黒瀬 健
(いずれも日本糖尿病学会認定研修指導医)
基幹施設
関西電力病院
管理運営
研修指導責任者と研修補助医師が糖尿病臨床研修の計画および実施状況を把握、監督し、レジデント部部長と研修管理委員会が各医師について臨床経験に偏りがないように、また、十分な研修成果が挙げられるように配慮しています。
到達目標
日本糖尿病学会、日本内分泌学会、日本病態栄養学会、日本肥満学会の各専門医研修到達目標を3年間の研修期間中に達成し、専門医の受験資格を取得することを目標とする。
糖尿病・内分泌代謝センターにおける診療体制
当科では、内科全般にわたる臨床能力を持ち、かつ医師としての人格および見識を備えた医師を養成し、更に糖尿病、内分泌、病態栄養、肥満の専門的知識が身に付くように臨床研修体制を組んでいます。研修指導医による回診(毎週)、および糖尿病・内分泌代謝センターと疾患栄養治療センター、腎臓内科等との合同カンファレンス(毎週)、症例検討会(毎週)、内科症例検討会(毎月1回)、剖検症例検討会(年10回)、教育関連施設とのセミナーや懇話会におけるカンファレンス(1~2カ月に1回)に加え、関西電力病院における糖尿病教室や患者教育実地研修により糖尿病臨床における研修医の教育充実に努めています。
研修終了後の進路
大学院 3名、病院 4名
診療実績
年度 | 外来通院(人) | 入院(人) | 初診(人) | 他施設からの 紹介(人) |
---|---|---|---|---|
平成19年 | 13,607 | 454 | 320 | 284 |
平成20年 | 14,441 | 519 | 359 | 356 |
平成21年 | 19,102 | 595 | 428 | 303 |
平成22年 | 23,396 | 647 | 345 | 353 |
平成23年 | 25,316 | 659 | 312 | 228 |
平成24年 | 26,976 | 588 | 305 | 200 |
平成25年 | 29,882 | 578 | 445 | 320 |
平成26年 | 30,397 | 586 | 521 | 388 |
後期研修1年目は内科医として十分な経験を積んでもらうべく、全内科領域をローテーションで経験してもらいます。関西電力病院は400床規模の施設ですが、循環器内科から血液内科、脳神経内科など全内科を網羅しています。初期研修で経験できなかった症例を補う意味でもローテーションを有効活用してもらえればと思います。後期研修2年目からは糖尿病専門医を目指し、糖尿病患者の入院ならびに外来を担当してもらいます。入院は、初期教育から足病変、腎症など合併症が悪化した症例、ケトアシドーシス症例など、毎週数名の新規入院の主治医を担当してもらいます。また、スタッフ医師と共に「糖尿病カンバセーション・マップ™」を用いた教育や米国アスレチックトレーナーの資格を持つトレーナー共に運動療法の指導にもあたります。外来では、新患に加え、入院でみた患者の再診も担当してもらいます。入院主治医として一生懸命指導した患者さんを外来でも長期フォローすることで、より多くのことを学んでもらえると思います。尚、回診やカンファレンスで院長と部長から直接指導を受けると共に、スタッフ医師がチューターとしてフォローにあたり質の高い糖尿病診療を学んでもらうことをゴールとしています。
さらに当センターでは糖尿病の臨床研究も活発に行っており、研修期間中には糖尿病に関する臨床研究にも参画していただきます。スタッフ医師と一緒に研究プロジェクトの立案、データ収集、解析にあたり、その成果を日本糖尿病学会総会やアジア糖尿病学会(AASD)やヨーロッパ糖尿病学会(EASD)など海外の学術集会で発表してもらいます。また、スタッフ医師の指導のもと、国内外の学術誌に論文発表してもらいます。これまでにも、日本人2型糖尿病の病態に関して、Diabetes Care誌などに多数論文発表を行ってきました。また、最近では日本人のインクレチン分泌能やDPP-4阻害薬による治療効果と魚介類摂取量の関係など大変興味深い臨床研究が進行中です。関西電力病院 糖尿病・内分泌代謝センターは、神戸大学や京都大学等と緊密に連携しており、必要に応じて連携施設で研究を行うことも可能です。尚、関西電力病院では、年2回の国内学会発表,年1回の海外発表は施設の費用負担で参加できるので、アカデミックな点からも糖尿病を学ぶのには理想的な環境です。
スタッフ医師からメッセージ
矢部 大介(部長、京都大学医学部、H10年卒業)
関西電力病院 糖尿病・代謝・内分泌センターでは、「全人的な糖尿病診療」をモットーに、患者さんの病態を適切に把握することはもちろん、患者さんや家族の社会的、経済的、心理的側面に配慮しつつ、患者さんが「やってみよう」と思える糖尿病治療を提案し、管理栄養士や看護師など多様な職種と協調的に、患者さんの療養を支える糖尿病診療を目指しています。このような理念のもと、当科研修プログラムでは、初期教育から合併症の進んだ症例まで多彩な症例を、上級医の指導のもと丁寧に診る過程で糖尿病臨床を実地で学んでいたたくと共に、臨床研究に参画することで糖尿病学の研鑽を積み、日常診療に還元してもらいたいと考えています。当科での後期研修は決して楽なものではありませんが、関電病院で糖尿病を勉強したいというガッツのある方、是非、我々のチームに加わりませんか。
表 孝徳(医長、大阪市立大学医学部、H16年卒業)
関西電力病院 糖尿病・代謝・内分泌センターでは、私たちが考える、理想の糖尿病医療を目指しています。医学的根拠に基づいた上で、医師だけでなく様々な専門的技能を有するパラメディカルと協力し、患者各々が実生活で実践・継続可能な治療は何かを、患者・家族と対話をしながら決定していく医術を学んで頂きます。栄養学に関しては、糖尿病患者に対する栄養指導や、院内におけるNST活動をしながら、上級医の指導の下、多くの事を学んで頂きます。内分泌学に関しては、甲状腺・副腎・副甲状腺疾患等はもちろん、当院外科で扱う多くの神経内分泌腫瘍も経験できます。また、当院では『内科医』であり『科学者』であることを重要視しています。糖尿病患者に起こる様々な全身疾患への一次対応ができるよう様々な症例を担当して頂きますし、初期研修で不足を感じている領域に関しては、他科の研修を受けることも可能です。また、多くの臨床研究を行っており、国内外における多くの学会・論文発表を経験して頂きます。決して『楽』ではありませんが、『楽しい』と感じれるあなた、ぜひ一緒に頑張りましょう。
渡邊 好胤(医員、京都大学医学部、H18年卒業)
関西電力病院 糖尿病・代謝・内分泌センターでは、上級医の指導のもと糖尿病・内分泌領域の各疾患が満遍なく経験できます。患者さんの多くは糖尿病を患われていますがその治療背景・社会的背景は多種多彩であり、お一人お一人で全く異なるといっても過言ではありません。当科では、患者さんの個々のライフスタイルに併せて考えうるべき最善の治療を行うことを第一に考えており、後期研修の間に問診・診察および検査所見から「地域社会の中での患者さん」像を構築して総合的に治療方針を組み立てていく術を学んで頂きたいと思います。なお当科では開業医・診療所の先生方との間で病診連携・地域連携を積極的に行っており、患者さんを軸に地域ぐるみで糖尿病診療の質を上げるべく取り組んでいます。皆さんにもこうした地域の枠組みの中で活躍頂き、日頃の糖尿病診療にフィードバックしていってもらいたいと思います。スタッフや先輩の後期研修医の先生たちから患者説明や検査の解釈法、また「もっと患者さんを知る」ためのエッセンスを学び、研修修了時には自分なりのやり方を後輩に指導できるようになって頂ければ幸いです。
桑田 仁司(医員、神戸大学医学部、H20年卒業)
私は後期研修から当院で勤務させていただいております。当院での1年目は3ヵ月ごとの内科ローテートを、2年目からは当科にて病棟業務や外来診療に従事させていただいております。バランスよくすごすことが出来た、というのが当院での後期研修の感想です。当院は、糖尿病・代謝・内分泌センターを一般的なことから専門的なことまで診ることができるだけでなく、研究発表などの学術的な面でもその機会は多く準備されており質量ともに大変充実しています。さらに、ある程度経験を積んだ上でさまざまな内科を経験させていただき外から将来専門としようとする科を診るという得がたい経験も得ることができました。じっくり、深く、多面的に身につけるには大変いい環境です。熱心な医師、コメディカルも多く揃っており教育面でも安心です。ご一緒に働いてみませんか?