業績

関西電力病院麻酔科若手医師の目標の一つがアメリカ麻酔学会(ASA)など国際学会での発表です。幸運にも2008~2019年で6名の若手医師が発表しました。(体験記をご覧ください

2023年業績

医学雑誌

  1. 首藤 喬ほか. 「縦郭気管孔形成術を施行したムコ多糖症Ⅰ型 (Hurler症候群の1例」日集中医誌 2023; 30: 235-8
  2. 中筋正人ほか.「左側大腸穿孔に対するハルトマン手術中に麻酔科医がカテコラミン投与を決断するための術前危険因子」日本腹部救急医学会雑誌 2023; 43(3): 615-20

学会発表

  1. 首藤 喬ほか. 「穿孔性腹膜炎手術で麻酔導入直後の乳酸値の有用性」第50回日本集中治療医学会学術集会 2023年3月2日~4日 京都
  2. 首藤 喬ほか.「開心術終了時に発生した左気管支からの気道出血に対してICUで分離肺換気を行い治癒した1症例」第50回日本集中治療医学会学術集会 2023年3月2日~4日 京都
  3. 和田万里子ほか.「脊椎固定術閉創時、硬膜外ドレーンの過度な陰圧吸引は極めて危険な行為である」㈳日本麻酔科学会第70回学術集会 2023月6月1日~3日 神戸
  4. 中筋正人ほか.「薬剤師の術前外来新設による麻酔科持参薬確認システムの改善」㈳日本麻酔科学会第70回学術集会2023月6月1日~3日 神戸
  5. 首藤 喬ほか.「長時間にわたる頭低位ロボット支援手術における体水分の分布の変化」 ㈳第69回日本麻酔科学会関西支部学術集会 2023年9月2日 大阪
  6. 藤井敦也ほか. 「大量出血した腹部大動脈瘤手術後に生体電気インピーダンス法による体水分評を行った1例」㈳第69回日本麻酔科学会関西支部学術集会 2023年9月2日 大阪

2022年業績

学会発表

  1. 平井杏奈ほか. 「low BISと膵頭十二指腸切除術後の膵液瘻発症の関連」㈳日本麻酔科学会第69回学術集会 2022月6月16日~18日 神戸
  2. 中筋正人ほか. 「高齢者の全身麻酔で低血圧、低BISのいわゆる“Double Low”となる危険因子」㈳日本麻酔科学会第69回学術集会 2022月6月16日~18日 神戸
  3. 渡邊千恵ほか. 「感染性大動脈瘤の食道穿破に対して下行大動脈置換術及び食道抜去術を行った1例」㈳日本麻酔科学会第68回関西支部学術集会 (WEB開催)
  4. 渡邊千恵ほか.「ミトコンドリア病患者の開心術をSedLine®で術中管理した1例」日本心臓血管麻酔学会第27回学術大会 2022年9月17日~18日 京都
  5. 首藤 喬ほか. 「小腸切除後に左心耳内血栓に対して緊急開心術となったSMA塞栓症の1例」日本集中治療医学会第6回関西支部学術集会 2022年7月16日 大阪

2021年業績

医学雑誌

  1. Nakasuji M, et al. Causes of arterial hypotension during anesthetic induction with propofol investigated with perfusion index and ClearSightTM in young and elderly patients. Minerva Anestesiol. 2021 Jun; 87(6): 640-647.

学会発表

  1. 中筋正人ほか. 「麻酔導入時のPerfusion Indexと手掌皮膚温度の関係~高齢者と若年者の比較~」㈳日本麻酔科学会第68回学術集会(Web開催)
  2. 首藤 喬ほか. 「下部消化管穿孔に対する緊急手術中のカテコラミン投与についての後方視的検討」㈳日本麻酔科学会第67回関西支部学術集会(Web開催)
  3. 平井杏奈ほか. 「膵頭十二指腸切除術後の膵液瘻発症の麻酔関連危険因子」㈳日本麻酔科学会第67回関西支部学術集会(Web開催)

2020年業績

学会発表

  1. 中筋正人ほか.「麻酔導入時のPerfusion indexとStroke volume variationsの経時的変化から高齢者の心拍出量低下の原因を推測する(優秀演題)」㈳日本麻酔科学会第67回学術集会(現地開催中止)
  2. Nakasuji M, et al. Serial Changes of Perfusion Index and Stroke Volume Variations during Anesthetic Induction Elucidate the Mechanisms of Decrease in Cardiac Output in Elderly Patients. Euroanaesthesia2020, Barcelona (現地開催中止)

2019年業績

学会発表

  1. 島本晃一ほか.「抗血栓薬が緊急下腹部手術の術中・術後経過に与える影響~傾向スコアを用いた比較からわかった問題点~」㈳日本麻酔科学会第66回学術集会 2019年5月30日~6月1日 神戸
  2. 中筋正人ほか.「術前安静時血圧と静脈内自己調節鎮痛の術後必要頻度との関係」㈳日本麻酔科学会第66回学術集会 2019年5月30日~6月1日
  3. 渡邊千恵ほか.「胸部放射線治療の既往がある大動脈狭窄兼閉鎖不全症患者に開胸大動脈弁置換術を施行した1例」日本心臓血管麻酔学会第24回大会 2019年9月20日~22日
  4. Shimamoto K, et al. Perfusion Index in Elderly Patients Does Not Increase during Anesthetic Induction. American Society of Anesthesiologists 2019 Annual Meeting, October 19-23, 2019, Orlando

2018年業績

医学雑誌

  1. 和田万里子ほか. 器質的心疾患のない患者に対する全身麻酔中に発作性房室ブロックにより心室停止になった1症例. 麻酔2018; 67: 397-401

学会発表

  1. 島本晃一ほか.「抗血栓薬を直前まで内服していた患者の予後の検討」第64回日本麻酔科学会関西支部学術集会 2018年9月1日 大阪
  2. 吉増有紗ほか.「全身麻酔時にロクロニウムでアレルギーを起こした患者への対応と対策」第64回日本麻酔科学会関西支部学術集会 2018年9月1日 大阪
  3. 島本晃一ほか.「緊急開腹手術直前まで抗血栓薬を内服した患者の検討」日本臨床麻酔学会第38回大会 2018年11月1日~3日 北九州
  4.  渡邊千恵ほか.「当院における全身麻酔を要した小児の切断指を含む指先端外傷症例の検討」日本小児麻酔学会第24回大会 2018年10月20日~21日
  5. Nakasuji M, et al. Preoperative resting blood pressure correlates with postoperative requirement for fentanyl-based intravenous patient-controlled analgesia. American Society of Anesthesiologists 2018 Annual Meeting, October 13-17, 2018, San Francisco

2018年以前の業績
(医学雑誌のみ)

医学雑誌(国内)

  1. 中筋正人ほか. スガマデクス投与量の適正化対策―手術終了時の4連刺激(TOF)測定標準化―. 麻酔2015; 64: 586-590
  2. 井上基ほか. 人工気胸を併用した腹臥位胸腔鏡下食道切除中に換気困難となった1症例. 麻酔2015; 64: 833-836
  3. 今中宣依ほか.切断肢再接合術で動脈再建後の大量出血中に高カリウム血症を来たした1症例. 麻酔2014; 63: 1358-1361
  4. 清水雅子ほか. SAPHO症候群と線維筋痛症の合併による難治性痛症例の治療経験. 日本ペインクリニック学会誌2014; 21: 511-514
  5. 野村正剛ほか. 発症後長期間を経過しペインクリニック外来で診察を行ったリウマチ性多発筋痛症の1症例. 日本ペインクリニック学会誌2013; 20: 28-31
  6. 仲村光世ほか. 麻酔科術前診察時の頻脈から成人エプスタイン奇形の診断に至った症例. 麻酔2010; 59: 780-3
  7. 中筋正人ほか. 麻酔や麻酔法に影響する検査結果とは?. LiSA 2010;17: 56
  8. 中筋正人ほか. 気管支ファイバーを用いたエアウェイスコープⓇの有用性―挿管困難症の確実な気道確保への挑戦―. 麻酔2009; 58: 346-348
  9. 中筋正人ほか. 婦人科開腹手術患者の麻酔後シバリングの原因. 臨床麻酔 2009; 33: 665-9
  10. 今中宣依ほか. 麻酔導入時のプロポフォールで高血圧と頻脈が起こるか?. 麻酔2009; 58: 652-654
  11. 野村正剛ほか. 血小板増加症に併発した偽性高カリウム血症患者に対する麻酔経験. 麻酔2009; 58: 1300-1302
  12. 田中益司ほか. 麻酔科術前外来は手術前日入院患者の満足度の上昇に寄与する 麻酔 2008; 57: 1527-1533
  13. 中筋正人ほか. 薬物依存症防止に向けた中規模病院の取り組み -理想的な手術室薬物管理を目指してー. 麻酔 2007; 56: 1111-1118
  14. 井上珠希ほか. 術前にCK-MM異常上昇を示す患者の周術期管理をどのように行うべきか ―CK産生腫瘍の可能性が示唆された肺癌手術の経験からー. 麻酔 2007; 56: 714-717

医学雑誌(海外)

  1. Nakasuji M, et al. Disagreement between fourth generation FloTrac and LiDCOrapid measurements of cardiac output and stroke volume variation during laparoscopic colectomy. J Clin Anesth 2016; 35:150-6.
  2. Nakasuji M, et al. Hypertonic mannitol-induced hyperkalemia during craniotomy. J Anesthe Clinic Res 2013;
  3. Nakasuji M, et al. Hypotension from spinal anesthesia in patients aged greater than 80 years is due to a decrease in systemic vascular resistance. J Clin Anesth 2012; 24(3):201-6.
  4. Nakasuji M, et al. An intraoperative small dose of ketamine prevents remifentanil-induced post-anesthetic shivering. Anesth Analg. 2011; 113:484-7.
  5. Nakasuji M, et al. Intraoperative high-dose remifentanil increases post-anaesthetic shivering. Br J Anaesth 2010; 105: 162-7
  6. Suh SH, et al. Anesthesia in a patient with mucopolysaccharidosis type VI (Maroteaux-Lamy syndrome). J Anesth 2010; 24(6): 945-948
  7. Nakasuji M, et al. Bispectral index during epidural puncture predicts anterograde amnesia in patients given midazolam premedication. J Anesth 2009; 23(3): 329-33

ASA体験記1(仲村光世、発表時麻酔科最年少スタッフ)

はじめに

平成20年10月17日~23日、フロリダ州オーランドで行われたAmerican Society of Anesthesiologistsの2008年Annual Meetingのposter sessionに二つの演題が通り、発表する機会を得ました。
 アメリカ麻酔科学会には、大学病院に勤務していた3年前(演題は出していなかったのですが)見学に行かせて頂いた以来でした。それまで「海外の学会は大学院生が研究発表をする場である」という認識を持っていたので、今回臨床の演題が、しかも当院のような中規模病院からの演題が通るとは思っていなかったのでうれしいとともに、驚きました。

演題について

演題のひとつは“Cardiac output during spinal anesthesia is maintained even in elderly patients with hip fracture.”、高齢者の大腿骨頚部骨折手術を脊髄くも膜下麻酔で行った際のAPCO(動脈圧心拍出量)についてのstudyです。
二つ目は、“Bispectral index during epidural puncture predicts anterograde amnesia in patients given midazolam premedication”、当院では前投薬ミダゾラムを投与していますが、硬膜外麻酔中の記憶とBIS値の相関についてのstudyです。 今回の発表に際し、当院麻酔科医全員がさまざまな面で協力していただいたことに感謝するとともに、麻酔科として初の国際舞台での報告となったことに感激しています。

参加後、印象に残ったこと

  1. Annual meetingに参加して一番強く印象に残ったこと、それは「学会は、参加者にとって自分をアピールする場である」ということです。学会参加の目的は、発表もしくは知識、情報のrenewalのためばかりだと思っていたのですが、学会会場ではポスターの前を通る人を半ば捕まえるようにして質問を求める方や、持ち帰ることが出来るような瓦版ポスターを準備している方など多く見られました。文化の違いによるところも大きいとは思いますが、自分を売り込む彼らの姿勢は、とても勉強になりました。
  2. 論文の著者同様、学会発表でもresidentの活躍が目立ちました。もちろんシステムの違いとして、residentを名乗る母集団の、医師としての経験年数と麻酔科医としての経験年数は、日本と欧米では違いがあります。それでもなお、教育に対する意識の強さの違いはあるように思います。
  3. 日本人の発表については、私が予想していたより多い印象を受けました。今回の学会について私の知る限りでは、我々と同じ一般臨床病院からの発表も散見されたように思います。
  4. もう一つは英語力。「見た目では出身が分からない東洋人、話すと分かる日本人」という欧米人の偏見がある、と聞いたことがあります。個人差はもちろんあるのですが、それくらい英語が不得手と思われているということを励みに、今後英語を勉強しよう!と思いました。

最後に

今回の渡航にあたりご尽力頂いた、清野裕院長をはじめ関西電力病院、関西電力本店の方々に感謝したいと思います。この経験をより有意義にするため、引き続き参加できるよう挑戦し、また後輩達のassistもできるようこれからも一層励みたいと思います。

今回、発表したポスター前で記念撮影。
今回、発表したポスター前で記念撮影。

ASA体験記2(野村正剛、発表時麻酔科専攻医)

はじめに

この度、平成21年10月19日~23日ルイジアナ州ニューオリンズで開かれたASA(American society of Anesthesiologists)2009 annual meetingに演題が採用され、ポスター発表をさせていただく機会を得た為、その報告をさせていただきたいと思います。

演題について

タイトルですが、「Pitfall of serum potassium concentration in patients with pseudohyperkalemia due to thrombocytosis.」です。内容を簡単に説明しますと、血液中の電解質を測定する際には血液をいったん凝固させ、上澄み液の電解質濃度を測定します。ところが麻酔科では、麻酔中に刺入した動脈ラインから血液を採取し、凝固させずに血清をそのまま測定する事があります。その時のカリウムの値が術前に図った血漿採血と術中の血清採血との値でずれがあり、その原因は血液が凝固する際血小板や白血球内のカリウムが放出されて起こる為といわれています。今回の演題では、カリウム値のずれと血球数の関係そしてそれが麻酔管理に及ぼす影響について発表しました。

発表の様子

学会の雰囲気は非常に活気に満ちており、ポスターセッションではあちこちで人だかりが出来ていました。私のセッションでも、発表中でもないのに質問しにきたり、逆にポスターを見ていると話しかけてきたりと、皆積極的に議論をしようという意欲にあふれていました。ポスターのつくりも凝っていて、目に付くものがたくさんありました。参加者はアメリカ人が一番多く、次に日本人、ドイツ人、中国人、フランス人、といった感じでした。思ったより日本の方が多かったですが、やはり大学病院所属の医師が多かったと思います。気になる英語力ですが、私の場合は洋画の字幕版を借りてきて家で何回も見ていました。リスニングはそれで十分できるようになると思います。国際学会で非英語圏の医師も多数参加していることもあり、英語を母語とする人でもある程度ゆっくりしゃべってくれます。

感想・謝辞

海外での学会発表はやはり特別です。異国の同業者とコミュニケーションをとる事が出来ますし、なによりそういう国際的でアカデミックな世界と接点を持っている事が、日常業務をする上で大きな自信となります。関電病院では麻酔科専攻2年目にASAに演題を通す事を一つの目標としており、私もなんとか達成する事ができました。世界最高峰の学会に演者として出席する、若いうちにこういう機会に恵まれることは後々大きな財産になる事と思います。こういう機会を与えていただいた中筋部長や他のスタッフの先生、ならびに快く送り出してくれた病院スタッフの方々に感謝したいと思っています。

ポスターの前で記念撮影
ポスターの前で記念撮影

ASA体験記3(徐舜鶴、発表時麻酔科専攻医)

2010年10月16~20日にサンフランシスコ州サンディエゴで開催されたASA (American Society of Anesthesiologists) 2010 annual meetingでポスター発表を行う機会がありましたので報告いたします。
サンディエゴは、海、山などの自然に囲まれたアメリカ国内でも有数の観光地です。気候も比較的温暖と聞いていましたが、会期中はあいにくの天気でかなり肌寒かったのが残念でした。
会場内は世界中から麻酔科医が集まっており、非常に活気にあふれていました。アジア系ではやはり日本からの参加者が目立ちました。ポスター会場では基礎系、臨床系がほぼ同数程度の発表で、特に基礎系の発表が活発なのが印象的でした。発表はセッション担当者3名が順にポスターを回り、発表者がプレゼンテーションを行う形式でした。私のセッションは最終日で自分以外がほぼアメリカ国内からの発表者で、かなり緊張しましたが無事に発表することができました。英語に関しては事前練習が重要です。もう少し英語力があれば踏み込んだ議論ができたのではと感じました。
 アメリカ国内からの発表は国柄を反映してか、内容によらず医療費に関する考察がなされているようでした。ポスターディスカッション会場も回りましたが、座長の判断でポスター以外に急遽パワーポイントでのプレゼンテーションも要求しており、発表者もパワーポイントファイルをその場で作成するなど、かなり大変そうでした。今年度は急に参加費が必要になったりと、英語が苦手な日本からの参加者は戸惑っている様子でした。その場で急にアナウンスされることもあり、気が抜けません。
 海外での学会参加は初めての経験でしたが、今回は発表もすることができ、単に参加する以上の経験が得られました。他国の麻酔についての考え方・捉え方のちょっとした違いに触れることは日常の業務にも生かせることが多いと感じました。またASAの演題は質が高いものが多く、臨床研究においてもASAを一つの目安とすべきと感じました。こういう期会を与えていただいた麻酔科の皆さん、何かと手配いただいた病院の職員方、臨床研究につきご造詣が深く快く送り出してくださった清野院長に感謝いたします。

発表ポスターを記念撮影
発表ポスターを記念撮影

ASA体験記4(矢野好輝、発表時関西電力病院レジデント部研修医)

2011年10月14~19日にアメリカのイリノイ州シカゴで開催されたASA (American Society of Anesthesiologists) 2011 annual meetingでポスター発表を行う機会がありましたので報告いたします。
 実は私は以前に一人で海外に行ったことがなく、一度も参加したことがない海外の学会で一人で発表しなければならないということで、出発する前から大変緊張していましたが、事前に先輩の先生方のアドバイスをいただくことで何とか無事に学会発表を終えることができました。
 今回ASA annual meeting 2011が開催されたシカゴは、大阪と姉妹都市の関係にあり、人口規模は大体同じくらいの都市です。シカゴは建築物が有名で、さまざまなデザインの高層ビルが林立する大都会でありながら、川や大きな公園などもあり、大変風光明媚な都市でした。
 学会の会場は日本のそれと比べてさらに大規模な会場で、便利に快適に利用できるよう様々な工夫が見られました。今回はレミフェンタニルによって引き起こされるシバリングをケタミンを併用することにより抑制できることを示す研究について発表しました。発表はポスター発表の形式で行いました。ポスターの前に立っていると様々な人たちから質問されました。事前にある程度予習して準備をしていたものの、相手の質問の内容を理解しそれに答えるのがやっとで、こちらから議論もちかけていくことはなかなかできなかったことが悔やまれました。
 自分が発表するだけでなく、いろいろなセミナーにも参加しました。全世界に先駆けて新たなコンセプトを提唱し、学会という場を利用しコンセンサスを得て普及させていく、という最先端で行われているプロセスを感じることができたと思います。国際学会の本当の価値は、普段だったら論文でしか知らない他の国の人たちと直接会話できることだと感じました。自分の英語力のなさを悔いるとともに、いつかは自分も全世界に公表できる価値ある研究を行い、世界の人たちとコミュニケーションをしたいと強く感じました。また日常の臨床をただ漫然とこなすだけでなく、論文や発表などの形にして残していけるよう、普段から一つ高い視点で考えて仕事をすることが重要だと感じました。
 学会発表だけでなく、わずかな期間ながら海外で一人で生活する機会を得られたことも非常に大きかったです。当たり前の話ですが、アメリカは多民族国家であり、白人、黒人、アジア人などいろいろな人がいて、食事やタクシー、ショッピングといった基本的な生活習慣でさえ日本とは異なります。日本で培われたこれまでの様々な常識が相対化され、視野が広がったように思います。以前は海外に行くことについてはどちらかというと消極的な考え方でしたが、今回の経験を通し、海外で生活することに抵抗がなくなり、機会があったら留学などにも挑戦したいと考えるようになりました。
 最後になりましたが、2年目の初期研修医であるにもかかわらず、このような機会を与えていただいた関西電力病院に大変感謝しています。本当にありがとうございました。

発表のポスターの前で。かなり緊張しました。
発表のポスターの前で。かなり緊張しました。

ASA体験記5(井上基、発表時麻酔科専攻医)

この度、平成26年10月11日~15日にアメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオリンズで開かれたASA(American society of Anesthesiologists)2014 annual meetingにてポスター発表をしたため報告させていただきます。
 私の演題はPrediction of Circulatory Changes After Pneumoperitoneum in Laparoscopic Surgery by Pulse Contour Analysisでした。腹腔鏡下結腸切除術において、FloTrac sensorでSVV(stroke volume variation)やCI(cardiac index)を計測し、気腹の際の循環動態を予想することができるのではないかという内容です。
 ASAの会場は日本のそれの数倍以上はあるかと思うほど広く、また世界各地から麻酔科医が集まり、まさに国境を越えたディスカッションが行われます。欧米人はもちろんのこと中国やインドなどのアジア圏から、そして日本人も多数参加していました。ASAは計5日に渡って開催され、世界最大規模の麻酔科学会であると感じました。ASAではe-Posterというシステムが導入されています。Power point 形式で作成したポスターを事前に電子化して送り、会場の大型ディスプレーに投影しプレゼンテーションを行います。日本の学会と比べると、積極的に議論をしようとする姿勢の参加者が多く、どの演題でも活発な議論がなされており、大変刺激を受けました。肝心のポスター発表は、練習の成果あってうまく行うことができました。座長と聴衆からそれぞれ質問を受けました。術前の心機能を評価していたのか、降圧薬を内服している患者は何割いたのかという質問を受けました。術前の心機能に関してもう少し深く考察できればよりよい発表になったのではないかとアドバイスをもらいました。質疑応答に関しては事前に予想される質問に対する解答を準備しており、内容としては答えられる質問だったにもかかわらず、語学の壁と学会本番という場の緊張感でうまく伝えることはできませんでした。普段から英語の勉強をしていればと、悔やまれました。
 抄録や参加登録、参加費の支払い、Poster作成などの一連の流れすべてが慣れない英語で苦労しましたが、無事終えてみると大きな達成感を得ることができ、またいつか海外の学会で発表を行いたいと強く思いました。渡航許可をいただいた清野院長、未熟な私に一から指導してくださった麻酔科スタッフの方々、事務手続きでお世話になった庶務課市原さん、本当にありがとうございました。

今回はe-posterのみ。ついにポスターを持っていく必要がなくなりました。
今回はe-posterのみ。ついにポスターを持っていく必要がなくなりました。

ASA体験記6(中筋正人、麻酔科部長)

サンフランシスコで開催されたAmerican society of anesthesiologists annual meeting 2018のposter sessionで発表しました。6年前に参加したワシントンでのASAでうまくプレゼンテーションできなかった反省から今回は入念に準備をした結果、いいたいことはなんとか伝えられたかなと思っています。日本人若手の発表を見ていて、ポスター内容が複雑すぎて聴衆に伝わっていない印象を受けました。日本の学会と異なり座長はたくさんの一般演題を担当するので簡潔にまとめてあげるのが望ましいと思います。ASA開催都市でもっとも日本に近いので参加しましたが、時差ぼけと緊張感でしんどかったです。やはり国際学会は若手に期待しようと思います。最後になりましたが渡航許可をいただいた千葉院長、事務手続きでお世話になった庶務課久保さん、本当にありがとうございました。

聴衆が少なくて少し残念。座長からは『よい発表だ』とお褒めのことばを頂きました。
聴衆が少なくて少し残念。座長からは『よい発表だ』とお褒めのことばを頂きました。

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