リンパ球が癌化して無制限に増殖し、リンパ節やリンパ組織(扁桃、脾臓など)にできものを作ってくる病気です。特に首のリンパ節に病変を生じやすく、脾臓や縦隔のリンパ節に生じることもあります。リンパ節が腫れる他、発熱や寝汗、体重減少などがみられることがあります。B細胞由来のリンパ腫で全悪性リンパ腫の約4%に見られます。

<ホジキンリンパ腫の原因>

特殊なケースを除き、原因は不明です。

リンパ球はどのような働きをしているのでしょうか?

体内に侵入してきた異物(ウイルスや細菌など)を除去する役割を持った、免疫の要になる細胞で、私達の体を異物から守ってくれています。

リンパ球の中にはB細胞、T細胞、NK細胞といった種類があります。

リンパ球はどこに存在するのでしょうか?

リンパ球は骨の中にある「骨髄」という組織でつくられ、頭から足の先まで行き届いているリンパ管や血管を通って、全身に分布します。

そしてリンパ管の途中には「リンパ節」という臓器がたくさんあり、そこでリンパ球が増えたり、異物を処理する場となります。(例:のどに炎症を起こしたり、口内炎ができると首のリンパ節が腫れてきます。)

<一般的な悪性リンパ腫の症状>

リンパ球が癌化すると、無制限に増殖する上に、体内に侵入してきた異物を除去するという正常な機能を果たさなくなります。すなわち、主には

  1. 無制限に増殖する⇒リンパ節が腫れる
    (首や腋の下、足の付け根などにしこり=腫れたリンパ節ができます。多くの場合、痛みはありません。)
  2. 原因不明の熱(微熱のこともあれば、38℃以上の熱のこともあります。)
  3. 6ヶ月の間に体重が10%以上減少する
  4. 体がだるい
  5. 寝汗をかく
  6. 免疫力の低下、感染症を起こしやすい

といった症状が出現します。

<ホジキンリンパ腫の診断・検査>

悪性リンパ腫にはいろいろな種類があること、また病気の拡がりには個人差があり、治療方法にも影響するため、次のような検査を行います。多くの検査は外来で施行可能です。

一般的な検査:症状を確認後、体の表面から分かる範囲でリンパ節の腫れを診察します。また血液検査を行い、血液細胞や臓器に異常がないか、確認します。

悪性リンパ腫の種類を調べる検査

リンパ節生検(大抵の場合、外来での手術となりますが、採取するリンパ節の部位によっては入院での手術となることもあります。)

腫れているリンパ節の組織を手術で採取し、異常な細胞がないか、リンパ節の構造がどのように変化しているか、また免疫・遺伝子上の異常といった詳細な特徴を調べます。検査結果には約3週間要するものもあります。

ホジキンリンパ腫においては、特徴的な「リード・シュテルンベルク細胞」あるいは「ホジキン細胞」が現れます。

悪性リンパ腫の広がりや内部の病変を調べる検査

超音波検査、CT、MRI、PET/CTなどがあり、必要に応じて行います。

骨髄検査:リンパ球が作られている「骨髄」に悪性リンパ腫の細胞が広がっていないか調べます。(外来でも施行できます。)

このように悪性リンパ腫の種類や広がりを評価し、治療方針を決定していきます。

<病気の広がり(病期分類)>

  1. 1つのリンパ節領域、あるいは1つのリンパ節以外の臓器に病変がある。
  2. 2つ以上のリンパ節領域、あるいは1つのリンパ節領域と1つ以上のリンパ節以外の部位に病変がある(横隔膜の上下どちらかのみ。)
  3. 横隔膜の上下両方に病変がある。
  4. 広い範囲のリンパ節以外の臓器に病変がある。(骨髄も含めて)

ホジキンリンパ腫の治療法

このように病気の拡がりや体の状態を考慮しながら、一人一人に最良と考えられる治療法を決定していきます。

  • 病気の広がり:I~II期(巨大な病変や症状がない場合)
    薬物療法(抗がん剤)4コースと放射線療法を組み合わせた治療を行います。
  • 病気の広がり:III~IV期(巨大な病変または症状のある場合)
    薬物療法(抗がん剤)6~8コースを行います。

*場合によっては通院で治療できることもあります。


診療科紹介・部門