慢性リンパ性白血病
成熟したリンパ球様の細胞が骨髄と末梢血で増える病気で、高齢者に多く発症します。増えてくるリンパ球の種類によってB細胞性とT細胞性に分けられますが、前者の方が圧倒的に頻度が高く、一般的に慢性リンパ性白血病といえばB細胞型を指すことが多いようです。欧米など白色人種では頻度の高い病気ですが、日本人では2~3%と欧米に比べ発症率は1/10といわれます。
病気の進行は緩徐で、初期にはほとんど症状がありません。また、他の造血器腫瘍と異なり根治を目指す有効な治療法がないことから、ある程度進行するまでは治療を実施しない、"watch and wait"が基本的な方針とされています。貧血や脾腫の出現など、病期が進行した場合にはアルキル化剤やプリン拮抗薬が単独もしくは組み合わせで使用されます。代表的なお薬としては、シクロフォスファミド(エンドキサン®)、フルダラビン(フルダラ®)、リツキシマブ(リツキサン®)などがあります。造血器腫瘍に対する根治療法としての同種造血幹細胞移植は現時点ではまだ研究的な治療としての位置づけで、若年者でかつ治療抵抗性の場合に限って試みられています。
日常生活での注意点としては、抵抗力が低下しますので、感染予防が重要です。免疫グロブリンが低下し頻回に感染症を起こす場合には、IgGが400mg/dl以上となるように補充療法を行うことがあります。
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